909
ヌメリスギタケの栽培適木の検討
川端 良夫
(福岡県技セ)

金子 周平
(福岡県技セ)
 当県保有のヌメリスギタケ Pholiota adiposa の2菌株(FPF-13,オニノメB)を用い、入手が容易であると思われる5樹種クヌギ、コナラ、ソメイヨシノ、アラカシ、コジイ及び対照樹種として、栽培適木であるフウ、モミジバフウ、ユリノキの3樹種の計8樹種ついて、栽培試験を行った。
 コナラを除く全ての樹種で、接種当年秋に子実体が収穫された。5樹種の中で比較的収量の多かったアラカシ及びクヌギでも、対照3樹種の平均収量の4分の1以下であった。早生系である(発生温度が高い)オニノメBでは、コナラを除く全樹種で当年発生が見られているの対し、晩生系(発生温度が低い)のFPF-13では、対照3樹種でしか当年発生が見られなかった。


910
ヌメリスギタケ栽培の培地基材
金子 周平
(福岡県技セ)

 優秀な食用きのこであるヌメリスギタケ Pholiota adiposa の栽培化を目的として、栽培培地基材の検討を行った。10種類の樹種の鋸屑を使用した。樹皮込みの各鋸屑のC/N比を測定した結果、クヌギ、コナラ等広葉樹と比較して、スギ、ヒノキは、Cの含有率は顕著な差がなく、Nの含有率が低いことが認められた。容積比で20%の米糠を添加した培地の pHはいずれも5.5前後で、差は認められなかった。当センタ−保存のFPF-13菌株を使用した菌糸体の成長はブナ、クヌギで良好であり、ヒノキでは劣った。スギ、ブナ、ユリノキの鋸屑に20%米糠を添加した培地での実用的栽培試験では、ブナが最も子実体収量が高く、ついでスギ及びユリノキであり、スギとユリノキの混合は劣った。スギを利用するためには、綿実殻、コ−ンコブ、米糠を混合するのがよいと認められた。スギ+米糠だけでは水バランスが良くない(下方に水が移動する)ことが1原因であると考えられた。


911
栽培きのこ別に見た害菌アンケート調査結果
宮崎 和弘
(森林総研九州)

明間 民央
(森林総研九州)
嶋谷 智佳子
(九沖農研セ)
 九州地域の菌床栽培施設を対象としたアンケート調査を行った。今回は九州で栽培され ている主要なきのこであるシイタケ、エノキタケ、ブナシメジ、ヒラタケについての回答 を解析した。その結果、エノキタケにおいてトリコデルマ被害の割合が高いこと、ブナシ メジ栽培施設では予想とは異なりストップ症状による被害は出ていないことなどが推察さ れた。被害程度でみると、シイタケ、エノキタケで被害発生率が高く、ブナシメジで低い 傾向にあった。特に過去における被害ピーク時点で50%以上の被害率を経験している施設 が、シイタケおよびエノキタケでどちらも2割を超えていた。しかし、ダニの発生に関す る質問では、ブナシメジの栽培施設で確認された割合がもっとも高かった。