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乾シイタケ原木栽培におけるオガクズ成型種菌の利用
石井 秀之
(大分県きのこセ)

有馬 忍
(大分県きのこセ)
 市販乾シイタケ原木栽培用の10品種を用いて、成型種菌を作成し、クヌギ原木による栽培試験を実施した。栽培方法は、生産現場で木片種菌を用いて行われている一般的な方法で行い、ほだ木育成期間および子実体発生期間における水分管理は実施しなかった。
 子実体発生量調査の結果、3品種を除いて接種翌年の春に子実体の発生がみられ、最大は8.94%の発生率であった。子実体発生量については、2品種を除いて、ほだ木材積1?当たりの平均的な一代発生量の15sより多かった。
 この結果、乾シイタケ原木栽培における成型種菌の利用については、品種の選定が重要となることが考えられた。また、接種1年目の子実体発生量が多い品種については、子実体発生の早期化の可能性も考えられる。


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成型駒を使用した原木シイタケ栽培技術に関する研究
−多孔植菌の効果−
田原 博美
(宮崎県技セ)

新田 剛
(宮崎県技セ)
 シイタケの年内発生が可能なことや穴採れによる品質の向上が見込まれるなどの利点から成型駒を使用している生産者は多い。しかし、その栽培の歴史は浅く、その技術も確立されているとはいえない。
 そこで、現在成型駒を使用した原木シイタケの栽培技術に関する研究に取り組んでいるが、今回は植菌数の違いが生産性に及ぼす影響について検証してみた。


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奄美大島産野生きのこについて
根田 仁
(森林総研九州)

宮崎 和弘
(森林総研九州)
下園 寿秋
(元・鹿児島県林試)
岩元 高治
(元・鹿児島県林試)
税所 博信
(元・鹿児島県林試)
重森 宙一
(鹿児島県林試)
1996年から2001年まで、奄美大島の森林において野生きのこの採集を行い、553点 の野生きのこの標本を得た。それら標本のうち140点55種を同定した。リュウキュウ マツ林内に発生するきのこは、九州以北のアカマツ林、クロマツ林におけるきのことの共 通種が多く、ハツタケ、アミタケ、チチアワタケ、ヌメリイグチ、オウギタケの発生期間 は、12?2月だった。シイ林などの常緑広葉樹林では、シロハツモドキ、ウチワタケなど 九州以北の常緑広葉樹林との共通種が多いが、ビロードカワキタケ、シロコカワキタケ、 ニセキツネノカラカサ、スズメタケ、ミナミアシグロタケ、ヒダウロコタケ、エダウチホ コリタケモドキ、マユハキタケなどの熱帯種も見られた。