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90年代における山村集落の人口動態―宮崎県諸塚村の事例−
阿部 久美子
佐藤 宣子
(九大農)
 現在日本において山村を取り巻く状況は厳しい。特に90年代に入ってからは経済のグローバル化がさらに進み、山村は過疎現象の最終局面としての第4段階にあるといわれている。つまり、人口の「自然減」によって各戸の家族構成の極小化と高齢化に伴い生産・生活上の共同活動が非常に難しくなる「ムラ機能不全集落」化が進行し、集落消滅に至るというものである。しかし、その実態について正確に把握されていないのが現状である。本研究では、宮崎県諸塚村を事例に、村内88集落の人口構成の推移を分析し、90年代における山村集落の人口動態について考察する。


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農山村における家族の構成と森林の継承
長 慶一郎
(鹿大農)
      
 現在、自分の所有する林地の境界がわからない森林所有者が増加している。林地の境界の不明確化が進んでいけば、所有者は森林施業が行えなくなり、森林組合にも施業の委託ができなくなるおそれがある。そこで将来の状況を考え、現在の在村者のもつ森林が家の中でどのように引き継がれようとしているのかを検討する必要がある。そこで、今回、家族構成、森林の継承の意向について農林家に聞き取り調査をおこなった。その結果、家族の規模・他出者の林地の境界認識から考えて、将来において林地の境界の不明確化がよりいっそう進むことが考えられた。