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木材使用に関する土木事業担当者の意識調査
河津 渉
津島 俊治
(大分県林試)
 本県では間伐材等の消費拡大の一環として土木資材として木材を利用するよう推進しており、今回実際土木事業の設計を担当する県市町村の職員を対象に意識調査を行った。その結果環境負荷の軽減等を目的に木材を使用すべきと考える担当者は9割をこえているが、木材が腐朽することからその使用を行わない担当者が多い現状にあることが分かった。


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建設リサイクル法施行に伴う建設発生木材利用のための諸問題
野口 敬記
堺 正紘
(九大農)
      
 平成14年5月30日に建設リサイクル法が施行され、建設物の解体により発生する建設廃棄物は品目ごとに分別、再生可能な資源は再利用することが義務付けられることとなった。建設廃棄物の中で建設発生木材は特定建設資材廃棄物とされ、木質ボード、堆肥等の原材料や発電燃料としての利用が期待されている。太陽エネルギーを基とした木材の有効利用は環境負荷の低減に繋がり、持続可能な社会システムの構築に貢献できうるものであるといえる。しかし建設発生木材は分別方法や再資源化施設整備の遅れなどの問題により、再資源化率は他の特定建設資材廃棄物二品目と比較して低い。そこで本研究では建設発生木材の分別、再資源化への流れを調査し、木材の有効利用に向けた今後の政策、施設の整備のあり方についての検討を行う。


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地域産業の創造と補助金政策
飯田 繁
吉田 茂二郎
白石 進
(九大農)
 補助金は地域の産業を振興する上で有力な手段であり、長い間これに馴染んできたが、次のような三つの問題を内包している。第1は産業構造が複雑化し、縦割り行政の境界を越えた総合的政策が必要になり、現在の補助金政策では不十分である。第2は山村・林業では起業家(新規参入)が求められているものの、補助金を得る前に資金が必要であり、起業家の育成につながり難い。第3は既存の企業を保護するための制度的障壁があり、新規参入が困難である、等である「木質エネルギーの開発」という観点から補助金の実情について報告し、一つの事業を育成するためには総合的な政策が必要であること、そして、中央集権的な現行の政策体系(補助金体系)が地域の産業を振興する上で十分に機能していないことを述べたい。