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タイ国におけるマングローブ製炭とその利用
時田 校
中須賀 常雄
(琉大農)
 タイ国のマングローブ林面積は、1961年には367,900haであったが、1995年には176,000haと、この35年間に半減している。その主な原因の一つは薪炭用材としての伐採によるものである。このような状況下で、タイ政府は1988年にマングローブ林の伐採禁止策を打ち出したが、伐採権の期限が残っている製炭業者は、その後もマングローブ林を伐採して製炭を続行している。タイ国の木炭生産量は、1980年代後半に56万?とピークに達し、1995年には9万?までに減少しているが、現在の木炭生産地は南タイ半島部で、マングローブ林残存地と一致しており、マングローブ林が木炭生産を支えていることを示している。今回は、南タイのマングローブ製炭の実態と木炭の利用について報告する。


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日本と韓国の木質ボード産業の動向
崔 洙林
堺 正紘
(九大農)
遠藤 日雄
(鹿大農)       
 韓国は日本と比較して製材産業のウェイトが低く,木質ボード産業が高い。この理由は,住宅構造の差によるもので,製材品や合板の主な需要先は高層建築物の仮設材として使われているためである。韓国では,合板産業が1980年代をピークに減少に転じ,代わりに,PBやMDF等の木質ボード産業が飛躍的に拡大している。特に,MDFは表面に彫刻や塗装ができるため,ソリッドウッドや合板の代替材として需要が拡大している。MDFは,日本では主に建築用途に使われているが,韓国では建築用途よりも家具やキャビネット用材等に使われてきた。ところが,所得水準の向上に伴って高層アパートを中心に床材,壁,ドア等の木質内装材として需要が増加し,MDFの生産量は1990年の11万m3が2000年には97万m3に急増している。本研究では,日本と韓国におけるMDF産業の動向を,原料供給構造や製品需要等について考察する。


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屋久島観光における森林利用と保護ーアクセス方法の選択調査よりー
永矢 麻希子
津島 俊治
朝飛 有希衣
枚田 邦宏
(鹿大農)
 屋久島は、以前より登山などの利用が行われてきた。交通手段の改善によって、多数の観光客が來島するようになってからは、自然休養林や登山歩道の整備により以前にも増して多くの人が山岳利用をするようになった。また、登山口までのアクセスは、マイカーやレンタカー利用も増加しており、登山口での駐車場の確保が問題になるようになった。本報告では、駐車場の確保が問題になっている荒川登山口等において行ったアクセス方法の改善のためのアンケートの結果を用いて、環境への影響が少ないアクセスへの転換の可能性を検討する。