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クモトウシ、ヤイチの月別及び年間の成長量(U)−2002年の測定結果からー
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長 正道
木梨 謙吉 |
林木の成長状態を分析すべくその成長期である3月〜9月の7ヶ月間、スギ(クモトウシとヤイチ)を対象に測定し、そのプロセスについて2000年〜2001年の測定値をもとに考察を行った。今回は前回と同じ方法で2002年に実施した測定値を加えて若干の分析と考察を試みた。なお、測定対象木・測定方法・材積成長量の計算等は前回と同じ方法によった。また各月の平均気温・日照時間・降水量等は福岡管区気象台による福岡市の気象データによった。 |
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地形による単位立地区を基礎としたスギ単純同齢林の成長様式
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田中 恵太郎
(九大農) 吉田 茂二郎 (九大農) 村上 拓彦 (九大農) 今田 盛生 (九大農) |
直径成長についてこれまで様々な研究がなされていて、その中の一つに期首の固体サイズとサイズ定期成長量との関係式を表すDMF(Distribution Modifying Function)を用いたものがある。これらの研究は地形が一様な林分を想定しており、異なる微地形を含む林分内で立地条件の違いによるDMFの相違について検証したものは少ない。本研究では、成長様式(期首の固体サイズとサイズ定期成長量との関係)に着目して、地形や土砂の堆積様式から区分されている単位立地区ごとにDMFを判別し、立地条件の違いによるDMFの差異について調べた。 |
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樹冠特性によるイジュ人工林の間伐基準の検討
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当真 寛子
(大分県林業試験場) 安理 練雄 (大分県林業試験場) 平田 永二 (大分県林業試験場) 安理 修 (大分県林業試験場) |
沖縄の日本復帰以後に積極的に造林されるようになったイジュやイスノキ等の広葉樹人工林が除・間伐期に達しつつあり、密度管理の指標作りが緊急の課題となっている。沖縄本島北部におけるイジュ人工林の間伐基準の検討を試みた。イジュ人工林と天然林内のイジュについて、健全で形質の優れた材木を選び、胸高直径と樹冠直径等の特性を調査した。その結果に基づいて保残本数を検討すると共に、試験的に間伐を行って比較した。これらの結果によると、人工林と天然林内のイジュの樹冠には明らかな差異があり、人工林の樹冠特性に基づく間伐基準は相対幹距15%、天然林内のイジュの樹冠特性に基づくと15〜17%が適正であると判断された。 |
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等高線帯状皆伐作業林の林分構造−九州林産(株)での事例−
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末廣晴彦
(宮大農) 溝上展也 (宮大農) 伊藤哲 (宮大農) 井上昭夫 (鳥大農) 加賀英昭 (宮大農) |
樹高程度の帯幅による帯状皆伐作業,すなわち,「帯状複層林施業」は低コストな複層林施業として注目されている。しかし,帯状複層林に関する報告は極めて少なく,その施業体系を確立するにはいくつかの事例を統一的に調査・解析する必要があると思われる。発表者らは最近,帯状皆伐後26年経過した宮崎県諸塚村のスギ・ヒノキ帯状複層林を調査し,下木の樹高成長と形状比が隣接する一斉林のそれらと同程度であることを明らかにした(溝上ら, 2002)。本研究は,帯状伐採後30数年経過した,大分県山下池周辺のスギ等高線帯状皆伐林の林分構造を明らかにするものである。 |
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霧島山系における保護樹帯を利用したモミ・ツガ林の再生−保護樹帯の林分構造−
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伊藤 夏林
(九大農) 吉田 茂二郎 (九大農) 村上 拓彦 (九大農) 今田 盛生 (九大農) |
霧島山系におけるアカマツ,モミ,ツガを主体とする天然林は林地保全や健全な生態系を保つために重要な森林であるが,近年後継樹がほとんど見られないという状況にある。ところで,モミ・ツガ天然林を造成したヒノキ人工林が,不成績造林地となっている。このような人工林に対し再度天然林に誘導する方向も考えられるが,幸いにもこれらの人工林の周囲には人工林保護のために保残された保護樹帯が隣接している。我々は残存する保護樹帯が特別保護地区のモミ・ツガ天然林と遺伝的・構造的に同じ性質を有していると想定し,保護樹帯をヒノキ人工林の天然林化へのキーエリアとして注目している。本研究の目的は,保護樹帯の林分構造を明らかにし,周辺林分への種子の供給源となり得るかどうか検討することである。対象地は霧島屋久国立公園内の新床国有林59林班た小班,よ小班及びれ小班である。 |