304 |
オビスギ在来品種と宮崎県産スギ精英樹のRAPD分析
|
---|---|
水久保 孝英
(宮崎県林技セ) 三樹 陽一郎 (宮崎県林技セ) 倉本 哲嗣 (林育セ九州) |
宮崎県内のスギは、ほとんどさし木苗で造林されているため、精英樹選抜育種事業によるスギ精英樹(西臼杵1号、東臼杵1号など)とオビスギ系の在来品種(オビアカ、タノアカ、アラカワなど)のなかに同一クローンのものが存在する可能性がある。今後、スギの品種管理を進めていくためには、DNA分析を行い、クローンの整理を行う必要がある。そこで、オビスギの在来品種18品種と、宮崎県産スギ精英樹のうち民有林から選抜された61クローンについてRAPD分析を行い、DNA型の識別を試みた。 |
305 |
マツノザイセンチュウ抵抗性マツのRAPD分析
|
---|---|
倉本 哲嗣
佐々木 峰子 岡村 政則 平岡 裕一郎 藤澤 義武 (林育セ九州) |
マツノザイセンチュウ抵抗性マツは、これまでにアカマツ92個体、クロマツ16個体が選抜されている。これらの抵抗性個体は、今後のザイセンチュウ抵抗性に関する遺伝解析や次世代の抵抗性マツの作出に重要であることから、確実な管理が必要である。そのため、まずマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツおよびアカマツについて、RAPDマーカーを用いて個体識別を試みた。また、その情報をもとに、次世代の抵抗性マツの交雑育種を効果的に進めるための基礎情報を得る目的で、抵抗性マツ間の類縁関係の推定を試みた。 |
306 |
福岡県マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ採種園産種子に対する2001年における構成クローンの寄与
|
---|---|
井田 和彦
(九大) 白石 進 (九大) 宮原 文彦 (福岡森林技セ) |
葉緑体DNAは針葉樹では父性遺伝するので、葉緑体DNAマーカーを用いて種子を分析すれば、それを生産した親を特定することができる。本研究では、マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ採種園で生産された種子が遺伝的に均質であるかを調査するために、葉緑体DNAマーカーを利用して、2001年に福岡県の採種園で採られた種子を分析し、それを生産したクローンの一部を同定した。その結果から各クローンの種子生産への寄与を推定した。また、1998年と1999年の福岡県産種子、1999年鹿児島県産種子の分析結果と合わせて、年次および場所によって各クローンの種子生産への寄与が異なることを明らかにした。 |
307 |
RAPD+sp法によるクロマツのDNAマーカーの作出と連鎖地図の作成
|
---|---|
黄 発新
白石 進 村上 春樹 (九大) |
針葉樹はゲノムの巨大さ、高度のへテロ性という特徴を持っていることが知られている。実験のコストとDNA情報の信頼性から、本研究ではRAPD法をベースにして、操作が簡単かつ再現性が高く、信頼度の高いDNA情報を得ることができるRAPD+sp手法を開発した。この分析法を用い、志摩64号の自然受粉家系(103個種子の胚乳)を用いて地図の作成を試みた。その結果、483個のマーカーを検出した。そのうち、465(98.3%)マーカーがメンデル分離比(1:1)に適合し、これらのマーカーを使ってクロマツの連鎖地図を作成した。本地図は423個のマーカーによって16の連鎖群と2つの連鎖対から構成された。連鎖地図の全長は2782.0cMであった。Framework map連鎖マーカー間の平均距離は10.5cMであり、ゲノムをほとんどカバーしていると思われる。今後、この分析法を生かして他の樹種における連鎖地図の作成、更に地図の統合や、有用特性の早期選抜などへの応用が期待できる。 |