413
沖縄県におけるマングローブ林のD-H関係と林分構造
坂内さおり
中須賀常雄
岸本司
(琉大)  
 ある一つの森林内では、胸高直径と樹高の間には拡張相対成長関係が成り立つと言われている。拡張相対成長式は1/H=1/ADh+1/Hmaxで表されA、h、Hmaxは樹種ごとに決定する定数であり、これらの定数を比較することにより樹種ごとの林分構造の解析ができるものと考えられる。 沖縄県は亜熱帯気候に属しており、マングローブ林が広く分布している。本林は、メヒルギ、ヤエヤマヒルギ、オヒルギなどのヒルギ科樹種を中心に生育しており、前2樹種が海側に、その後背地にオヒルギが生育する帯状分布がみられ、オヒルギが極相林となることが知られている。今回は沖縄のマングローブ林を構成しているヒルギ科3樹種について各林分で胸高直径(根元直径)と樹高との拡張相対成長関係を求め、階層構造、林分密度などの関係を明らかにし、既存の資料と比較することによりマングローブ樹種の特性を明らかにする。


414
沖縄産マングローブ(ヒルギ科)樹種の山引き苗について
中須賀常雄
前島和也
(琉大)
 沖縄(日本)のマングローブ林の主要構成樹種はヒルギ科のメヒルギ、オヒルギ及びヤエヤマヒルギの3樹種である。これらの樹種は、マングローブ林再生のための植栽に広く用いられており、その植栽方法は、ヒルギ科特有の胎生芽を直接現地に挿し付ける方法、胎生芽から苗木を養成して植付ける方法が取られている。マングローブ林内には、通常シードリングバンクと呼ばれる稚幼樹が多数成立しているが、これらは林冠が破れない限り生長することはなく、成立、枯死を繰り返している。今回は、この稚幼樹を山引き苗として利用するための基礎資料と掘り取り法及び養生について報告する。


415
沖縄島漫湖のメヒルギ林に関する研究
中嶋 正樹
中須賀常雄
(琉大)
 沖縄島南部にある漫湖は1999年、干潟としては日本で2番目のラムサール条約登録地となった。都市に隣接した環境である為、様々な人間活動の影響を受けている。1980年代初頭からは護岸工事などによる土砂の発生の影響を起因としたメヒルギ林の分布域の拡大が見られる。分布域の拡大は湿地生態系に大きな影響を与えているとされている。メヒルギ林を含めた湿地生態系全体の保全管理を実施するにはメヒルギ林の群落構造や生育環境を把握する必要がある。しかし、今回の調査地である漫湖においてはメヒルギ林の群落構造、生育域の環境及びそれらの相互作用に関する報告は極めて少ない。 本研究では、那覇市漫湖に生育するマングローブ林のなかでも特に増加が著しいメヒルギ林について取り上げ、成立年代の異なるメヒルギ林の群落構造と生育域の立地環境に関する調査研究を行い、メヒルギ林とその生育域の環境因子との関係を明らかにする事を目的とした。