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LAI-2000とデジタル全天空写真のそれぞれから推定したLAIの比較
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河原雄一郎
村上 拓彦 吉田茂二郎 今田 盛生 (九大) |
九州大学福岡演習林内に設定されている固定試験地において5年ごとに継続的な森林調査(CFI)が実施されている。今回CFIの有効性を大幅に拡大するためLAIの測定を開始した。LAIの測定方法には直接・間接含めていくつかのものが存在するが,LAIの推定方法による違いが推定値に及ぼす影響について確認しておく必要がある。そこで本研究では,LAI推定方法の違いがLAI推定値に及ぼす影響を明らかにするために,LAI-2000 Plant Canopy Analyzerとデジタル全天空写真のそれぞれから推定したLAIを比較した。まず,常緑広葉樹林において解析を行った。次に,林分の違いが推定値に及ぼす影響について解析した。最終的に,LAI推定におけるLAI-2000 と全天空写真の問題点と有効性について議論した。 |
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照葉樹、林冠木の葉クラスター構造
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藤井 栄
水永 博己 (鹿大) |
樹冠内で葉はクラスターを形成しながら分布することが定性的に知られている。こうしたクラスター構造は森林内の微気象や群落全体のガス交換速度に影響を及ぼす。しかしながら、クラスター構造を定量的に解析した例は少ない。我々は鹿児島大学高隈演習林の照葉樹林内に設置した樹冠測定タワーを用いて、タワー内に位置するスダジイとタブノキの樹冠をサイノメに区切り、セルごとの葉密度を測定し、葉クラスター占有率が樹冠内の空間位置によって変動すること、葉クラスター内の葉密度の空間変異は比較的小さいことなどを報告した。葉のクラスター構造を考える上で、葉クラスターの分布や葉クラスター内の葉密度だけではなく、葉クラスターのサイズと形状も重要な情報である。本報告では、葉が存在するセルの三次元座標値を用いて個々の葉クラスターを判別したので葉クラスターのサイズ及び形状の空間変異を明らかにし、その生態的意味について考察する。 |
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ニセジュズネノキの樹冠アーキテクチャ
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城田 徹央
(九大) |
ニセジュズネノキは暖地の林床に生育する常緑低木であり、平面状の枝を積み重ねた棚状樹冠を形成する。本研究では、発達段階の異なるニセジュズネノキ8個体のシュート構造の解析に基づき、棚状樹冠の形成様式を議論した。地上茎は発生後、単出仮軸分枝を繰り返して高さ成長を行う。14cm程度の高さに達すると、斜出シュートを形成して枝作りを始める。枝を構成する斜出シュートは分岐とともに垂直角を低下させるため、枝は発達とともに平面的になる。枝は初め二叉分岐を押さえてより遠くへと枝を伸ばし、その後、二叉分岐によって面的な成長を行う。枝がある程度発達すると直立シュートを伸長させ、新たな平面状の枝を形成する。その9割は枝の基部周辺からの萌芽である。枝のつけねの直立シュートの副芽に由来する直立シュートと、斜出シュートの第一節の腋芽に由来する直立シュートが認められた。低い位置では前者が、高い位置では後者が多かった。 |
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南九州地方における立地環境がスギ人工林の成長に及ぼす影響
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村本 康治
高木 正博 野上寛五郎 (九大農) |
宮崎大学農学部田野フィールド(演習林)におけるスギ林の成長量を明らかにするため、各齢級に分布するスギ林に20m×20mのプロットを50ヶ所設置し、5年毎に調査する固定試験地として胸高直径と樹高の調査を行った。本研究は、より効率のよい生産性が期待できる環境条件を明らかにすることで、森林の適正配置を検討する上で重要である。そこで、地形、斜面方位、斜度、立木密度、林床の光環境などの立地環境が成長に及ぼす影響を検討した。その結果、スギ林の成長差は地形や斜面方位が大きく影響しているものと考えられた。また、林床の光環境のバラツキからプロット内の個体の成長差があるものと考えられたので、その概要を報告する。 |