604
マツノマダラカミキリの標識再捕調査
高尾 悦子
(鹿大)
丸田 恭平
曽根 晃一
畑 邦彦
佐藤 嘉一
中村 克典
鹿児島県桜島におけるマツ枯れの原因となっているマツノザイセンチュウの媒介昆虫であるマツノマダラカミキリ(以下、カミキリ)の林分内及び林分間の移動を標識再捕法を用いて調査するため、2002年5月に桜島のクロマツ林内に生け獲り型に改良したサンケイ式昆虫誘引器を23器設置した。今回は、誘引剤として90%エタノールとα-ピネンを用いた。トラップの設置後は、毎週2回、捕獲されたカミキリを回収し、個体識別をするため、上翅にペンキでマークをつけた。マーク後、カミキリは、捕獲されたマツの幹や枝に放した。今回の調査の結果を報告する。


605
浸透性薬剤による伐倒駆除作業のマツノマダラカミキリ殺虫効果の検討
中村 克典
(森総研九州)
松くい虫被害材伐倒駆除作業の現場における浸透性薬剤処理のマツノマダラカミキリに対する殺虫効果を確認するため,九州内7カ所のマツ林から処理済み丸太を収集し,網室内で成虫を羽化脱出させたのち剥皮割材調査を行った。各地点10本の丸太を調査し,脱出孔が確認されなかったのは1地点のみであり,最大で材表面積1m2あたり24頭の脱出がみられた。脱出数はアカマツでクロマツより少ない傾向があり,事前に調査内容を通知して丸太を用意してもらった場合に殺虫率は高かった。処理丸太から脱出したマツノマダラカミキリ成虫で生存期間が短くなるような現象は観察されなかった。


606
マツの根を経由したマツ材線虫病への感染
田中 一二三
(海の中道管理セ)
玉泉 幸一郎
 マツ材線虫病の感染経路はマツノマダラカミキリを媒体としたマツノザイセンチュウの枝からの侵入である。しかし、これとは別に罹病木の根からの移動の存在も指摘されている。 海の中道海浜公園で集団枯死した樹齢約30年生のクロマツの根茎調査を実施したところ、ほとんどの個体が根の癒合で連結していた。さらに根茎のほとんどの部分からマツノザイセンチュウが分離された。このことから、今回の枯死木の中には根茎を経由して感染した個体が存在したと考えられる。