607
九州中央山地小流域の造林地周辺におけるニホンジカの分布
矢部 恒晶
(森総研九州)
小泉 透
造林地および天然林がモザイク状に配置する九州大学宮崎演習林内小流域の林道上で 1999年から2002年にかけて冬期、夏期、秋期にニホンジカのスポットライトセンサスを行った。天然林および樹冠が閉鎖した造林地が分布する区間と若齢造林地等の開放 的な植生が分布する区間で出現個体の構成を比較したところ、季節により雌雄の出現傾向に違いが見られた。これには交尾期などの季節的活動や生息地利用の性差が反映 されていると考えられた


608
英彦山周辺地域における伐採地の出現動向とシカ生息地域との関連性
粟生 裕美子
(九大)
村上 拓彦
近藤 洋史
小泉 透
池田 浩一
吉田 茂二郎
今田 盛生
本研究では、福岡県と大分県の県境を含む英彦山周辺を対象地として、シカ被害が顕著になってきた1985年から2000年までの伐採地の出現動向とシカ生息地についての関連性を検討することを目的とした。使用データは、LANDSAT/TMデータ、大分県と福岡県各県によるシカ生息分布、被害状況調査結果、森林簿データである。本研究ではシカによる林業被害やシカ生息地域を空間的に捉え、各種属性データとの関連を空間的に解析する。こうしたアプローチにより、行政単位を超えた本質的な現象把握につながるものと考える。


609
広域空間スケールで捉えた伐採地の出現動向とシカ生息分布域との関連性
村上 拓彦
(九大)
小泉 透
近年,シカによる林業被害把握や各地域におけるシカ生息密度などが調査されている。しかし,それらは地理座標などの空間属性を潜在的に持っているにも関わらず,空間解析などのアプローチが現段階ではとられていない。本研究では,現在のシカ被害分布と林業活動の時間的・空間的展開との間に何らかの関係が存在するのかという視点で,時系列のリモートセンシングデータから得られた伐採地の出現動向とシカ被害分布との関連について解析を行った。対象地は大分県,宮崎県である。1980年?現在までのLANDSAT/TMデータを複数選択し,伐採地の時系列変化を把握した。また,「民有林・国有林シカ対策担当者連絡会」が1998,1999年度に行ったシカ被害の発生状況に関するデータをGIS上でデータベース化し,伐採地の時間・空間的な分布との関連性を検討した。