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貯食が野ネズミの採餌行動に与える影響
曽根 晃一
(鹿大)
アカネズミとヒメネズミは、ドングリを貯食することで知られている。餌を巣内に貯食することで、2種類の野ネズミの採餌行動がどのように変化するのか、室内実験で確かめた。その結果、2種類の野ネズミはいずれも、餌場への訪問や餌場に設置した餌の取り扱い(採餌や運び出し)が減少する傾向を示した。採餌行動の変化は、アカネズミの方が著しかった。これらの調査結果をもとに、貯食行動が野ネズミに与えるメリットや種間差の原因について考察した。


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森林性希少鳥類アカヒゲのDNAによる性判別
関 伸一
(森総研九州)
 アカヒゲは南西諸島周辺の島嶼にのみ生息するこの地域の固有種で,国の 天然記念物・国内希少野生動植物種にも指定されている。しかし,これまで十分な生 態調査が行われてこなかった。演者はこれまで4年間にわたってトカラ列島・中之島 でアカヒゲの繁殖生態を研究し,昨年度支部研究発表会では成鳥と幼鳥の年生存率についての検討を行った。成鳥についてはこれまでのデータから年生存率の推定が可能であったが,幼鳥については推定できなかった。これには様々な要因があったが,生 存率には性差が生じる可能性があるのに幼鳥では外部形態からの性判別が困難であったことが大きな要因の一つであった。そこで,本研究では,成鳥雄雌各20羽から採取した血液よりDNAを抽出し,DNAに基づく性判別がアカヒゲでも可能であるかどうかを検討した。また,糞などの鳥体へのストレスの少ないサンプルからも十分な量の DNAを採集できるか試みた。