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スギ品種と暗色枝枯病の発生数
讃井 孝義
(宮崎林技セ)
オビスギと他の地域の品種を植栽した当センター品種見本林で,樹幹表面3mまでの暗色枝枯病被害痕を数えた。その結果,ヤナセスギとシチゾウボが被害痕が多く,感受性が高いと考えられた。ヤナセ・サンブ・ウラセバルについて後生芽の数を調べたところ,後生芽の多少と暗色枝枯病発生数の間には関係がなかった


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福岡県で見いだされた緑化樹の病害(続の])−1999年から2001年にかけて見いだされた病害−
小河 誠司
(福岡森林技セ)
1999年度から2001年度にかけて福岡県で新たに記録された18種の病害について報告する。また、環境の悪い条件下(特に排水不良)で植栽された樹木が、根系の異常を来した結果発生した病害、本邦未記録の病害及び新宿主のいくつかについて詳述する。 @ 環境の悪化より発生したと考えられた病害:クヌギ植栽当年生と庭木のガマズミ;さめ肌胴枯病(Botryosphaerera sp.)、ヒノキ植栽当年生;Phomopsis sp., Valsa sp.(Cytospora sp.), Guignardia sp.、A 本邦未記録の病害:カンレンボク(Camptotheca acuminata Decne.)の葉の斑点〜葉枯症被害、Pseudocercospora sp.、B 新宿主:白紋羽病;ゴモジュ、ヒイラギモクセイ、さび病;ビヨウヤナギ、 紅粒がんしゅ病;ユリノキ、炭疽病;クロマツ、アラカシ、シャリンバイ、さめ肌胴枯病;クヌギ、ガマズミ


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奄美群島における樹木病害(III)−奄美大島における南根腐病の発生、分布および宿主植物−
佐橋 憲生
(森総研九州)
秋庭 満輝
石原 誠
森田 茂
演者らは数年前から、奄美群島に於いて南根腐病の発生実態調査を行っている。徳之島における本病の発生については既に報告した(秋庭ら、2001)。今回、奄美大島、喜界島に於いて本病の発生を確認したので報告する。調査は奄美大島北部の笠利地区を中心に行った。掘りとった根の肉眼的な病徴観察によって、6調査地域、9種の樹木に本病の発生が確認できた。一部の試料からは病原菌を分離し、その培養的性質および形態的特徴から、本病の病原菌、Phellinus noxius であることを確認した。本病が確認された樹木のなかには新宿主となるものも含まれている。


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数種の糸状菌類がシラカシ枝枯細菌病の病澂発現に及ぼす影響
石原 誠
(森総研九州)
秋庭 満輝
佐橋 憲生
  シラカシ枝枯細菌病の発生には様々な生物的・非生物的要因の関与が考えられる。特に糸状菌については,特定の糸状菌類が罹病枝上に頻繁に観察されたり、枝枯細菌と共に高頻度に分離されることから、これらの枝枯細菌病発生への関与が疑われた。そこで病原細菌と罹病枝から分離される糸状菌類を単独もしくは同時に接種して病澂発現を観察した。その結果、枝枯細菌による発病は糸状菌類が存在すると菌種によって多小ばらつきがあるものの、病斑部が明瞭となり、病澂の進行が速まる傾向にあった。しかし、接種枝の枯死率には差が認められなかったことから、病原細菌のポテンシャルや被害発生量全体に及ぼす影響については不明であった。