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1999年台湾地震後の土砂災害の推移と地形変化
車 張堅
(鹿大農)
下川 悦郎
(鹿大農)
地頭薗 隆
(鹿大農)
 1999年9月21日台湾で発生した集集大地震は台中縣・南投縣を中心に甚大な人的・物的被害をもたらした。この地震で山地では多数の斜面崩壊が発生し、多量の土砂が生産された。本震後も,斜面からの土砂の生産は余震や雨のたびに繰り返され,斜面の直下および谷の源頭部に不安定土砂が堆積している。これらの土砂は雨で侵食され土石流となって流出し、河道沿いの沖積錐に到達した後、さらに河川の作用で運搬され河床の上昇を招いた。こうした一連の土砂移動は山間部の集落に大きな土砂災害をもたらす一方、斜面から谷さらに河道に至る斜面・河川地形を大きく変化させている。ここでは、台湾中部の清水渓上流を例に、地震前、地震直後、さらにその後の大雨後の崩壊・土石流発生状況と地形変化について、現地調査および空中写真判読に基づいて検討した結果について報告する。


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飫肥地方のスギ造林地に発生した地すべりと異常年輪
中村 友輔
(北大院農)

高谷 精二
(南九大) )       
地すべり地に生育する林木は,その地すべり変動をアテ形成と年輪幅変動という形で記録する。そこで今回,宮崎県日南市飫肥山口にある造林地で見出された地すべりを,アテの年輪解析と年輪幅変動解析から,その時系列変化と形態について検討することにした。対象とした地すべり地の面積は約1ha、調査したスギは26年生である。その結果,アテは統計的にいわれる地すべり発生の雨量(連続先行雨量260?300mmの時点で日雨量100mm)を上回った場合に,その出現が著しいことがわかった。年輪幅変動は地すべり発生因子に近接するものの間に,有意な相関関係があることがわかった。アテと年輪幅変動の解析は,宮崎県における他の小規模な地すべり地の時系列変化の解釈にも有意義と考えられ,また複数のブロックからなる地すべりの形態把握に適当であると考えられる。