801
森林データと河川流出量
高木 潤治
(福岡森技セ)
 72〜'98の河川流出量のうち、後半の'85〜'98の13年間については、12ダムのうち6ダムのデータについての水文値に経年的な傾向が見られた。なかでも渇水/豊水流量比の減少傾向は明瞭であり、-0.51〜0.79の相関係数を示した。降水量だけではなく、森林の変化(林相の蓄積量増大など)や、その他の立地要因について、河川流出への影響を検討し、森林の公益的機能の評価について考えてみた。


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九州中山間地における林蓄複合生産システムが渓流水の化学成分に及ぼす影響
高木 正博
(宮大農)
 数多くの長所を持つ林蓄複合生産システムであるが,問題点として放牧林分下流域への窒素の過剰負荷の可能性が指摘されている。そこで本研究では,宮崎県諸塚村で行われているスギ幼齢林への放牧が渓流水中の窒素濃度に与える影響を調査した。サンプリングは7月から9月にかけて2週間に1回のペースで,0.05km2から0.5km2のオーダーの放牧林分を含む流域と含まない流域を対象とした。測定項目は硝酸態窒素,アンモニア態窒素,全窒素および全リンの濃度である。