803 |
シラス崩壊斜面における土壌性質の変化(1)
−崩壊発生周期を用いた土壌炭素蓄積速度の推定− |
---|---|
前迫 俊一
(鹿児島県林試) 酒井 正治 (鹿児島県林試) 下川 悦郎 (鹿児島大) |
地球の温暖化防止が世界的な取り組みとして行われている中,森林による二酸化炭素の吸収・固定は温暖化防止に大きく貢献すると言われている。森林の二酸化炭素吸収・固定は,土壌のもつ能力も重要視され,地上部植生の炭素蓄積に匹敵することから,森林土壌の炭素固定能を把握する上で,今後炭素蓄積速度を推定することも必要とされる。鹿児島県に多く分布するシラス急斜面では,周期的(101〜102)な表層崩壊により新鮮な土壌表面がたびたび生成されることから,この特性を利用し,崩壊後の土壌形成年代が異なる林分において,土壌の理化学性を調査し,土壌の炭素蓄積速度の推定を行ったので報告する。 |
804 |
コジイ林とヒノキ林における年間土壌呼吸量とリターフォール量
|
---|---|
酒井正治
(森総研九州) |
土壌呼吸速度は気温の上昇に伴って指数関数的に増加した。土壌呼吸速度と気温との指数関係式と日平均気温から年間土壌呼吸速度を推定した所、コジイ林の自然区,処理(Ao層除去)区でそれぞれ1157 gC/m2,852 gC/m2,ヒノキ林で自然区,処理(Ao層除去)区でそれぞれ805gC/m2,545gC/m2となった。なお、間接的に求めたAo層からの呼吸速度はコジイ林およびヒノキ林でそれぞれ全土壌呼吸速度の26%,32%である。コジイ林の小型リターは年平均約300 gC/m2、大型リターは2000年次において約50gC/m2となり、落葉落枝全体で約350gC/m2が毎年土壌に供給された。従ってコジイ林における土壌からの年間炭素放出量(平均1157 gC/m2)は地上部からの土壌への年間炭素供給量(350gC/m2)の約3.3倍高い値を示した。 |