807
南九州地方における森林土壌の物理的および化学的性質
鶴原 啓通
高木 正博
(宮大農)
 本発表は、宮崎大学田野フィールドにおける森林土壌の科学的および物理的性質を調査することによって、森林内における土壌と樹木およびその他要素との相関を検討したものである。森林内において、土壌と樹木、および母岩はお互いに影響を及ぼしあっていると考えられている。しかし、樹木および母岩は土壌の各性質にどのような影響を及ぼしているのであろうか。ここで、私たちは土壌をC/N比(CおよびN濃度)、三相構造、pHの要素に分け、樹木の種類(広葉樹および針葉樹)の違いおよび母岩の違いによって、これらの要素がどのように異なるのかを調べ、そこから樹木および母岩の土壌への影響を調べた。また土壌色の田野フィールド内での変化を調べた。


808
統一的土壌分類体系第二次案でみた九州中・北部の褐色森林土とその類縁土壌
今矢 明宏
(森林総研九州)

 暖温帯に分布している褐色森林土については、気候条件の違いから冷温帯の褐色森林土とは断面形態が異なり、土色が明るく、炭素含量が高いのは浅い層位までであることから、これらを黄褐色森林土として普通褐色森林土から区分する案が日本ペドロジー学会より統一的土壌分類体系第二次案として提示されている。林野土壌の分類は、黄色風化を受けた土壌として黄色系褐色森林土が亜群として区分されているが、現世の気候条件による区分はしていない。本研究ではこの新分類案の妥当性を検証するため、九州中・北部において低山帯から山地帯に分布する褐色森林土とその類縁土壌を分類案によって区分した。これによると多くの土壌では、その土色が黄褐色特徴や赤黄色特徴の基準に適合しており、垂直分布帯によらない結果となった。基準を満たさなかったのは蛇紋岩由来土壌であり、このような母材の影響が土色に反映されるような土壌ではこの手法は適していなかった。