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MuPS (multiplex PCR of SCAR markers) によるスギ地下部空間分布解析への
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久枝 和彦
大橋 瑞江 白石 進 (九大農) |
MuPS (multiplex PCR of SCAR markers)はRAPD (random amplified polymorphic DNA) を改良し、再現性と分析効率を向上させたDNA分子マーカーである。PCRとアガロースゲル電気泳動だけの簡便な操作で分析が可能であり、再現性が高いため得られたMuPS型 (DNA型) を逐次データベース化できることから多検体の分析が可能である。これまでに、地上における空間分布については、多くの研究がなされてきたが、地下部での各個体の研究は、ほとんど手が付けられていない。DNAによる個体識別技術を導入することにより、地下部における空間分布を解明できる可能性があり、今回は、スギMuPSシステムを根系解析に利用する上での基礎的研究を行った。 |
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エタノール水溶液法による土壌の撥水性の定量化
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小林 政広
(森林総研九州) |
近年、土壌中の水と溶存物質の動態に影響する要因として、土壌有機物の関与により生じる土粒子の撥水性が注目を集めつつある。自然土壌である森林土壌はこの撥水性を発現することが多いが、その程度は土粒子を覆っている有機物の性質や乾湿の履歴などにより時間および空間的に幅広く変化する。このような土壌の撥水性の強さを簡易かつ迅速に定量化する方法の1つに、濃度の違いにより表面張力を段階的に変化させたエタノール水溶液の系列を用いるエタノール水溶液法がある。本研究では、実験時の温度条件や土壌調整方法が実験結果に及ぼす影響を検討し、実際にこの方法を数種類の撥水性土壌に適用した。その結果、従来から広く用いられている撥水性の簡易な定量化法であるWDPT法では事実上定量化が不可能な極めて強い撥水性の範囲においても、エタノール水溶液法により撥水性程度の差異を表すことが可能であることが分かった。 |