813
林道法面の植生変化について
黒岩 康博
野崎 美和
田嶋 幸一
(長崎総農林試)
 林道の法面緑化は初期導入植生から、侵入種へと変化していく。侵入種も草本から木本へと遷移する。今回の調査では開設後経過年の異なる法面において、植生の変化と優占状況を調査した。その結果、導入植生の盛衰と侵入植生の推移について知見が得られたので報告する。


814
雲仙普賢岳火山性荒廃地における植栽試験(T)
野崎 美和
黒岩 康博
春海 賢一
(長崎総農林試)
 火山性荒廃地の緑化方法を検討するため,雲仙普賢岳垂木台地において平成12年3月に植栽試験を開始した。植栽樹種は,アカマツ・アラカシ・クスノキ・クヌギ・サザンカ・タブノキ・ネズミモチ・ネムノキ・ヤシャブシ・ヤブツバキ・ヤマザクラ・ヤマハギ・ヤマハゼ・ヤマボウシ・ヤマモモの15種類である。使用した苗木はポット苗で,各樹種80本である。植栽後1年半経過時点で,枯損率が高かった樹種はヤマモモ,続いてヤシャブシ,ヤブツバキであった。逆に枯損率が低く,90%以上が生存していた樹種は,アカマツ・クヌギ・ヤマザクラ・ヤマハギ・ヤマハゼ・ヤマボウシであり,アカマツ以外はすべて落葉樹であった。また,クスノキ・タブノキは一度先端部が枯れたが,根本から萌芽した割合が半数を超えていた。大会当日は,植栽後2年半経過時点での結果を発表する予定である。


815
野生樹木を用いた生活環境保全林造成法
猪上 信義
野田 亮
角 達朗
(福岡林技セ)
 福岡県椎田町国見山(638m)の山頂付近に、平成3年の台風で全面倒伏したヒノキ壮齢林があり,被害材搬出後,放置されたまま10年を経過し、現在では樹高4?5mのヒサカキ、ソヨゴ、アカメガシワ、リョウブ、コシアブラ、カナクギノキなどを主体とした天然林となっている。この場所について治山事業による生活環境保全林の造成が計画され,既往の施工地では全面伐採され,通常の植栽が行われている。現地の調査では,ネザサやイバラ類が繁茂するなどして、林内への侵入が困難なほどであったが,ミズメ、ヤマザクラ、ウワミズザクラ、ウリハダカエデ、ウリカエデ、アオハダなど修景木として優れた樹木も含まれていたので、これら自生樹木を利用して生活環境保全林を造成することを試みた。その選木の基準や事業レベルにのせる方法、除伐後の現状などを紹介し、生活環境保全林造成のあり方や放置林を検討する材料としたい。