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奄美大島産野生きのこについて
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根田 仁
宮崎 和弘 下園 寿秋 岩元 高治 税所 博信 重森 宙一 小林 龍一 (森総研九州) |
1996年から2001年まで、奄美大島の森林において野生きのこの採集を行い、553点の野生きのこの標本を得た。それら標本のうち140点55種を同定した。リュウキュウマツ林内に発生するきのこは、九州以北のアカマツ林、クロマツ林におけるきのことの共通種が多く、ハツタケ、アミタケ、チチアワタケ、ヌメリイグチ、オウギタケの発生期間は、12?2月だった。シイ林などの常緑広葉樹林では、シロハツモドキ、ウチワタケなど九州以北の常緑広葉樹林との共通種が多いが、ビロードカワキタケ、シロコカワキタケ、ニセキツネノカラカサ、スズメタケ、ミナミアシグロタケ、ヒダウロコタケ、エダウチホコリタケモドキ、マユハキタケなどの熱帯種も見られた。 |
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菌根菌イノキュラム作成に対する抗菌剤の影響
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明間 民央
宮崎 和弘 根田 仁 (森総研九州) |
樹木実生や苗木への外菌根菌の接種法の一つに栄養菌糸イノキュラムによる接種がある。しかし十分な菌体量を得るまでに長期間を要し、その間に害菌に汚染される危険も大きい。その対策に食用きのこの栽培に用いられる抗菌剤を利用できる可能性を検討するため、それらが菌根菌の生長に与える影響を評価した。供試菌としては食用となるショウロ、チチアワタケ、遷移初期の菌として知られるキツネタケ、有毒ながら樹木の保護および生長促進効果の高いコツブタケを用い、抗菌剤としては農薬のベンレートおよびパンマッシュを用い、寒天培地上での菌叢直径と45日後の菌体重量を測定した。その結果、ショウロとコツブタケは比較的薬剤の影響を受けにくかったが、チチアワタケ及びキツネタケはベンレートの添加により生長が阻害された。0.1%という高濃度でも生長に影響が出ない場合もあったが、菌により反応が異なるため薬剤は慎重に選択する必要がある。 |