914
DNA材鑑法確立に向けた基礎研究−1針葉樹核リボソーマルDNA(18S、28S)の研究−
田房 朋子
白石  進
(九大農)
 今日の木材鑑定手法としては木材組織学的手法が一般的である。しかし、木材組織学的手法では種レベル以下の鑑定は困難であるとされている。そこで、分子生物学的手法による木材鑑定法=「DNA材鑑法」の確立が目指されている。本研究ではナギ、スギ、ナンヨウスギ、クロマツの4種の葉から単離したDNA中の核リボソーマルDNA領域内のコード領域18S・28S部分をシークエンスし、その塩基配列多型を明らかにするとともに、DNA材鑑法の指標となりうる領域の選択を行った。  


915
ヒノキ精英樹の材質特性
岩崎 充則
谷端 省三
(長崎総農林試)
      
 長崎県下の人工林面積は、ヒノキ林が約65%を占め、主伐期を迎えている。主要な用途である住宅構造部材は、人工乾燥処理等による高品質化が要求されており、材質特性に適した加工処理が重要となっている。また、再造林時のヒノキ品種についても、材質特性を考慮した選択が必要である。今回、ヒノキ材質特性に関する基礎的データを得ることを目的とし、県下2箇所の次代検定林において、23精英樹について調査したので報告する。なお調査結果をもとに、材質評価の指標とされる5項目(動的ヤング率・容積密度・心材含水率・成熟率・心材率)を選び、各精英樹に対する五段階の相対評価を試みたので、併せて報告する。      


916
スギ正角材の乾燥条件の違いによる乾燥性について
山口  修
山之内清竜
(佐賀林試)
      
 佐賀県産スギ10.5cm正角3m心持ち材を、次の4条件により人工乾燥し、乾燥性(含水率、割れ等)を比較した。@乾球温度110℃湿球温度80℃A乾球温度100℃湿球温度70℃B乾球温度100℃湿球温度90℃+乾球温度100℃湿球温度70℃C乾球温度110℃湿球温度90℃+乾球温度110℃湿球温度80℃乾球温度110℃では内部割れが発生し、表面割れは発生しない。また、乾球温度100℃では表面割れが発生し、内部割れは発生しない。この傾向は湿球温度を変化させても同様であった。このことから、乾球温度100℃〜110℃間に内部割れと表面割れの発生状態が変わる境界温度があると考えられる。