403
異なる標高に生育するスギの肥大成長開始時期およびパターンの比較
玉泉幸一郎
(九大)
 スギ樹幹の肥大成長開始期と気温との関係を明らかにするために、異なる標高に生育するスギ林分において、幹の肥大成長と気温を測定した。肥大成長は自記デンドロメーターを用いた。測定は2001,2002,2003年の3年間行った。標高および年毎の成長開始時期の違いから、スギの肥大成長開始と温度との関係を解析する。さらに、年間を通しての成長パターンについても比較を行なう。


404
福岡県大島村におけるマルバニッケイの生育環境
猪上信義
野田亮
佐々木重行
(福岡森林技セ)  
 福岡県の大島村の北海岸にはマルバニッケイの群生地が見られ、北限自生地となっている。樹高は1〜4mくらいの低木状から5〜8mの亜高木状もで様々である。胸高直径は10cm前後のものが多いが、稀にはcmを越えるものまである。生育地は海岸の岩上から急斜面の崖地にかけてであるが、細かく見ると北向きのやや凸形斜面で、土層が薄く(AB層の厚さでは10cm以下)、深さ10cmの部分の土壌硬度が、山中式硬度計で10以上の場所に見られる。これより土層が厚く、軟らかい場所ではヤツデが優占している。 他の自生地に比べると、かなり内陸にも侵入し、ヤブツバキクラス標徴種と混在している。


405
鹿児島県産ブナ科代表樹種の形態特性
―異なる育苗容器を用いた地上部・地下部の比較―
川口エリ子
佐藤嘉一
長濱孝行
片野田逸朗
新原修一
(鹿児島林試)
 ブナ科植物は北半球の温帯〜暖温帯森林の主要構成樹種であり,本県においても冷温帯から奄美諸島の亜熱帯までの広い範囲において、自然植生や2次林の最優占樹種の一つである。一方,本県のシイ・カシ林は戦後の拡大造林施策により、スギ・ヒノキの人工林に転換されたが、近年、林業採算性の悪化による手入れ不足、森林のもつ多面的機能の持続的発揮の面から、シイ・カシ等の広葉樹造林の需要が高まりつつある。このため、本研究では造林種苗の育成を目的とし、ブナ科代表樹種の発芽特性と実生の成長特性を明らかにする。今回は異なる育苗容器を用いて,苗木の形態特性を比較・検討したので報告する。