406 |
形質転換ペリプロカにおけるGFP遺伝子の発現部位の特定
|
---|---|
宮柱明日香
玉泉幸一郎 (九大) 中澤慶久 馬場健史 (日立造船) 福崎英一郎 山東智紀 小林昭雄 (阪大工) 蘇印泉 (西北農林科技大院) |
ペリプロカ(Periploca sepium Bunge)は、中国原産の木本性つる植物で,ポリイソプレン生合成機構解明のためのモデル植物として期待されている.我々はこれまでに,ペリプロカの再分化系を確立するとともに,アグロバクテリウム法による外来遺伝子の導入法を確立した.本研究では、作出された形質転換ペリプロカにおける,CaMV35Sプロモーター下で制御された外来遺伝子(GFP)の組織内での発現部位を確認することを目的とした.材料は,形質転換体を試験管内で増殖継代したシュート,および発根して順化した苗木である.2つの異なる成長ステージにある植物材料に対して,茎と葉の横断面切片を作成し,共焦点レーザー顕微鏡(BioRad社)により観察をおこなった.GFPの発現は,茎では木部から師部にかけて、葉では海綿状組織で確認され、特に分裂組織では著しかった.また,その発現は継代培養を通じて安定しており,異なる個体サイズでも同様であった. |
407 |
センダン,ニセアカシアの効率的な形質転換系の確立
|
---|---|
坪村美代子
玉泉幸一郎 (九大) |
現在,木本植物において形質転換体が作り出されているのは,ポプラやユーカリ,果樹など限られた樹種に留まっている.今後,これらの技術を有効に利用していくためには,さらに多くの樹種で,形質転換体が創出されることが望まれる。本実験で使用しているセンダン(Melia azedarach L.)は成長が速く,炭酸ガス固定能力に優れるとともに,建装材など用材としても利用されている.また,ニセアカシア(Robinia pseudoacasia L.)は世界的に利用されている緑化樹種で,窒素固定能を有していることから痩せ地の緑化,さらには乾燥に強いことから半乾燥地の緑化などに広く使われている。本研究では、これら2樹種の形質転換個体の作出を試みた.実生個体の茎を材料として,パーティクルガン法とアグロバクテリウム法によって,GFP遺伝子の導入を試みた。 |
408 |
トチュウ種子へのコルヒチン処理による倍数体の作出
|
---|---|
中堂薗陽子
中澤慶久 (日立造船) 玉泉幸一郎 (九大) |
中国四川省を起源とするトチュウ(Eucommia ulmoides Oliver)は落葉性の高木で,樹皮は漢方薬,葉はお茶として利用される.また、ゴムの一種であるトランス型のポリイソプレンを産出する有用植物でもある。我々は,このトチュウの産生するポリイソプレンに注目し,産生量の増大や質の向上を目的とした研究を行なっている. 一般的に,倍数体は二倍体と比較して、細胞や器官の大型化、含有成分の増減、各種抵抗性の強化などの特性が認められる。したがってトチュウにおいても倍数化処理によってゴム成分が変化することが期待される。本研究ではトチュウの人為四倍体を得ることを目的とした。コルヒチン処理した種子を発芽させ,フローサイトメトリーにより葉細胞のDNA量を比較した.その結果,発芽個体の中に数本の四倍体が含まれていることが判明した.今後得られた四倍体のゴム含量を分析する予定である. |