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施業放棄されたヒノキ人工林における成林状況と地形要因との関係について
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山田康裕
(大分県農林水産研究セ) |
近年、材価の低迷等に起因した施業放棄林分が増えているが、本調査を実 施した大分県日田市上津江町のヒノキ施業放棄林では、地形の違いによってその成林 状況が異なることが分かった。同一林分内の尾根部、中腹部、谷部において調査を 行った結果、尾根部ではヒノキの成立本数2,100本/haで、ヒノキが林冠部を形成し ていたが、谷部に近づくにつれて侵入広葉樹の優占割合は高くなり、谷部ではアカメ ガシワやネムノキ等の広葉樹が林冠部を形成し、ヒノキはその林冠下で成立本数850 本/haと著しく減少していた。こうした状況から、谷部においては、施業を放棄した 場合のヒノキの成林可能性は非常に低いことが示唆された。 |
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天然生常緑広葉樹林施業に関する研究
−天然更新2年目の状況− |
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村本康治
(宮大農) 高木正博 |
天然生常緑広葉樹林の施業として、その林分における生態的、社会的 に適した施業法を検討することが重要である。本研究では常緑広葉樹二 次林0.2haにおいて、伐採前の植生と伐採後の天然更新によって発生し た実生や萌芽の稚樹を量的に調査し、林分構造の変化や植生と立地環境 の関係を解析した。伐採前はシイ、カシを中心とした一般的な常緑広葉 樹二次林であり、49種の木本が認められた。伐採2年後は、イヌビワ、 ツブラジイ、カラスザンショウ、イイギリなどの伐採後先駆種として見 られる樹種が繁茂していた。萌芽種61種、実生種106種と多様な種が発 現し、有用広葉樹といわれる樹種も多数確認された。ここでは育成天然 林への可能性について検討したので報告する。 |
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沖縄島北部の亜熱帯照葉樹林における択伐施業8年後の二次遷移
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呉 立潮
(琉大熱生研西表) 新里孝和 新本光孝 石垣長健 |
伐採跡地の天然更新、すなわち伐採後に人為的育林施業を加えない植生回復に関する継続研究の経過を報告する。択伐試験地は沖縄島北部の天然林に設定され、毎木調査後、胸高直径8cm以上の立木が伐採された。択伐8年後に樹高1m以上の残存木、根株の萌芽茎、実生木について毎木調査し、類型化による解析結果をまとめた。二次林の構成樹種は82種で、そのうち64種が残存木、22種が萌芽茎、76種が実生木で、伐採前天然林の65種より増加していた。択伐8年後二次林と伐採前天然林分を比較すると、密度は89,812本/haで2倍以上であったが、断面積合計は33.4u/haで減少した。優占種イタジイは萌芽力が強く、二次林途中相でも優占していた。樹高分布によると全立木はL分布を示したが、残存木と萌芽茎は非L分布であった。実生個体は下層に多く出現し、残存木と萌芽茎は上層を占めていた。択伐8年後の再生林は残存木と萌芽茎が優占する進行遷移に属することが示唆された。 |