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スギ材質の林分内変動と節の分布の影響
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尼崎寛一
(宮大農) 久澄省吾 雉子谷佳男 伊藤 哲 |
木材は金属やプラスチックなどの他の材料に比べると、材質のバラツキが大きく、その信頼度は劣ってしまう。この欠点を克服し、その信頼度を向上させるためには木材の材質を適正に評価する方法を確立しなければならない。これまでに林木の形状比と材質(樹幹曲げヤング率)の間に正の相関関係があり、形状比からその林木の材質を立木の状態で推測できることが報告されている。そこで今回、枝打ち、除間伐が行われていない19年生のスギ林分内でその関係を検証し、林分内での材質のバラツキ、および、節の分布の材質への影響について調査した。現在、木材の節の評価は材面に現れるものしか対象になっておらず、節の分布を適正に評価しているとは必ずしも言えない。そこで、材の内部に存在する全ての節の分布を調べ、材質への影響について考察した。 |
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鹿児島県におけるスギ高齢林の実態について
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石原拓弥
(鹿大農) 長濱孝行 竹内郁雄 大村康章 |
近年、わが国の人工林は短伐期施業から長伐期施業へと移行しつつあるが、高齢林のデータが不足している。本報告は鹿児島県内におけるスギ高齢林の実態を明らかにするため、鹿児島県霧島市にあるP-1:82、P-2:90、P-3:96、P-4:104年生の4林分で調査を行った。P-1〜P-4の地位は、それぞれU、T、T、Uに該当した。2006年3月における平均樹高は、P-1〜P-4でそれぞれ23.4、30.0、32.7、29.4mであった。また収量比数は0.63、0.62、0.60、0.68であった。幹材積はそれぞれ646.4、709.4、835.6、944.3㎥/haであった。本文ではこれらのほかに最近の成長量についても明らかにした。 |
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定性間伐における小型ハーベスタによる造材作業システムの検討
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満留良文
(鹿児島県林試) |
間伐作業の効率化を図るには,伐出作業の効率化,生産性の向上,労働強度軽減のための機械化が必要であるが,鹿児島県の1戸当たりの所有森林面積は零細なため,ほとんどの民有林においては,機械作業に不適とされる定性間伐が実施されており,枝払いは,足場の悪い林内で実施され,玉切りも人力によるチェーンソー造材が主流となっている。そこで,新たな間伐作業システムを検討するため,民有林の定性間伐地において,ウィンチ付き小型バックホウによる全木集材と後方小旋回タイプのストロークハーベスタによる造材作業を組み合わせた間伐作業システムを導入し,造材精度や作業スペースの狭い集材路上での造材作業効率,労働生産性,生産コストについて検討したので報告する。 |
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針葉樹人工林における間伐の総合的評価―上層間伐について―
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溝上展也
(九大農) 吉田茂二郎 村上拓彦 |
針葉樹人工林の間伐に関する研究はこれまでにも数多くみられるが、長伐期化や低コスト化が強く求められるなかで、最適な間伐方法とはどのような ものであろうか? 従来から一般的な下層間伐の他に、最近では列状間伐が推奨されるケースが増加し、中層間伐や上層間伐についての議論もされてい るが、これら各種間伐方式を多面的に比較検討し、総合的に評価した研究は少ない。 そこで我々の研究グループでは、伐採実験やモデルシミュレーションによって間伐を総合的に評価する研究に着手した。本報告では、特に上層間伐に 焦点をしばり、最近の研究を簡単にレビューするとともに、学生実習で得た予備的なデータを紹介する。 |