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帯状択伐林造成における施業コストシミュレーション
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荒木実穂
(九大生資環学府) 溝上展也 村上拓彦 吉田茂二郎 |
帯状択伐施業は、持続可能な森林経営を実現するための手段である複層林施業の一つであり、一斉皆伐施業からの転換が推進されてい る。それに伴い、帯状択伐林下木の光環境や成長等に関する研究も進みつつあるが、実際の施業にかかるコストや、長期的な収入に関 する研究は少ない。今後、より生産性の高い帯状択伐林を造成するためには、収益性を考慮した施業方法の検討を行わなければならな い。そこで本研究では、帯状択伐林の施業方法確立のための第一段階として、現存の一斉林を帯状択伐林へと転換する際のコスト計算 を目的とした。伐採シミュレーションに実際の伐採における功程調査を組み合わせることにより、様々な施業方法でのコストの違いに 関して考察を行う予定である。 |
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線形計画法による長期森林計画の作成
−九州電力(株)社有林への長伐期施業導入を事例として− |
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高比良聡
(九大生資環学府) 村上拓彦 溝上展也 吉田茂二郎 加賀英昭 |
我が国では現在、採算性の低下により林業経営は困難な状況にある。一方、森林に対する国民の要請は多様化・高度化しており、水源涵養や土壌 保全、保健文化等の森林の有する公益的機能の確保への配慮が求められる。これらに対し、林業経営への長伐期施業の導入はコスト削減や環境へ の配慮の面で効果があると考えられる。本研究では、長伐期施業の導入を検討している九州電力社有林(管理:九州林産)を対象とし、線形計画 法を用いて経営上の制約条件(年間伐採量の下限等)を満たしつつ現在の齢級配置を長伐期施業を意識した齢級配置に転換する森林計画を作成す ることを目的とする。線形計画法は森林レベルの森林計画を作成する際にはオーソドックスな最適化手法であるが、我が国の林業経営の現場では 十分に活用されているとは言い難い。目標状態や制約条件を精査し、条件による結果の違い等に関して考察し、現場での活用の可能性を検討して 報告する。 |
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長伐期型人工林施業を想定した地域レベル森林経営計画に関する研究
‐神宮明治百年記念林を事例として‐ |
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中島徹
(東大農) 松本光朗 鹿又秀聡 |
本研究は熊本・宮崎県下の神宮明治百年記念林を対象に,200年までの伐期を想定した森林資源予測を行い, ヒノキ大径材生産に適した経営計画を検討した。経営計画を検討する際には,システム収穫表LYCSを用い, 対象地のスギ,ヒノキ林分について植栽から主伐までの直径成長や,主間伐木の市場価格を試算した。また, GISによって保安林の指定施業要件等を経営計画に反映し,記念林の有する公益的機能についても考慮した。その結果,目標とするヒノキ大径木を育成するためには,従来の密度管理水準をより低密度に下方修正することが効果的であると示唆された。例えば, ha当たり本数を減少させて肥大成長を促進することや,スギからの樹種転換によってヒノキの立木本数を補充することなどは,今後,望ましい計画になり得ると考えられる。 |