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SPOT HRG画像を用いた伐採地抽出手法の検討
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齋藤英樹
(森林総研九州) 鹿又秀聡 |
本研究の目的は、衛星データを用いた伐採地の抽出手法の検討を行うことである。 使用した衛星データは、SPOT HRGである。SPOT HRGは、その特徴として空間分解 能が10mとランドサットの30mより高いため、森林をはじめとする植生をより細か く解析できる。またカバレッジは1シーンが60km四方であるためIKONOS、 Quickbirdといった高精細衛星画像よりも低コストでの運用が可能である。検証 用データとして、熊本県林務水産部地図情報システムより求められた皆伐地デー タを用いた。今回の解析では用いた衛星データが1時期だけであるため、画像分 類により伐採地を抽出した。これらの結果を検証データと比較して、その抽出精 度を求めると同時に、抽出された伐採地面積と検証データから得られる面積の比 較を行い、伐採規模を特定する能力の検討を行った。さらに、これらの解析を行 う上での問題点の考察を行ったので報告する。 |
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時系列LANDSAT/TMデータから得た抽出伐採地と再造林放棄地の実態
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村上拓彦
(九大農) 太田徹志 加治佐 剛 溝上展也 吉田茂二郎 |
現在,我々は再造林放棄地の実態把握とその対処法提言をめざして,プロジェクト研究(農 林水産研究高度化事業)を進行させている。その第一段階の作業として,九州本島全域を対 象に,特定期間に生じた森林変化点を,リモートセンシングデータから抽出した。森林変化 点の多くは伐採地に該当し,この情報を基本として,造林台帳とのチェックや現地調査が遂 行されつつある。この発表では,再造林放棄地に注目した上で,サイズ(面積),標高,森 林エッジからの距離について,造林済み人工林と比較し,再造林放棄地の発生環境について 議論したい。 |
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植林未済地における植生回復の現状
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前田勇平
(熊本県林研指) |
熊本県では球磨,水俣地域を中心に伐採後,植栽をしない植林未済地が目立つようになってきた。植林未済地で植生の被覆が遅れると土壌流出などの危険性が高まるため,植林未済地における早期の植生回復が喫緊の課題となっている。そこで今回,熊本県の球磨,水俣地域の植林未済地において植生調査を実施し,その植生回復状況について立地条件等環境変数との比較を行ったので,その結果について報告する。 |
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熊本における皆伐地の状況
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鹿又秀聡
(森林総研九州) 齋藤英樹 山田茂樹 |
近年、森林所有者の林業に対する関心の低下、川下での大規模な国産材加工施設を持つ事 業体の増加などに伴い、九州南部を中心に大面積皆伐が行われ、また造林費用が賄えない ために植林が放棄されている林分が増加している。こうした「未植栽大面積皆伐地」は森 林の多様な機能を低下させるとともに持続的な森林経営の妨げになる恐れがある。この問 題の背景を探り、適切に対応するためには皆伐地の的確な状況把握が不可欠である。 本研究では、熊本県が行った皆伐未植栽地調査の結果を基に、皆伐地の地理的な把握を 行った。また、その情報に森林簿・施業履歴、道路網、地形情報を組み合わせることによ り、大面積で皆伐が行われている地域の特徴について検討を行うとともに、将来的に大面 積皆伐が行われる可能性のある地域の抽出を試みたので報告する。 |
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再造林放棄地における植生回復パターンと植生回復要因
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長島啓子
(九大農) 吉田茂二郎 溝上展也 村上拓彦 保坂武宣 |
本研究は,再造林放棄地の植生回復パターンと今後の更新可能性を把握するとともに, 植生回復要因を萌芽率や立地条件との関係から探ることを目的としている.植生 回復パターンは,大分県の放棄地における毎木調査(樹高1.2m以上)データをも とに,植生をクラスター分析によって分類することで把握した.植生回復要因は 判別分析によって把握した. 回復植生はA.常緑高木群,B.常緑高木-先駆性落葉低木群,C.先駆種群,D.落葉低木群, E.落葉高木群の5つに分類できた.うち,A,B群は草本層にカシ・シイ類などが侵 入しており,徐々に照葉樹林化すると考えられた.放棄年数は回復要因として抽 出されなかったことから,植生回復パターンは早い段階から様々存在すると言え た.一方,萌芽率や近接広葉樹林の植生が要因として検出された.前者は前生樹 が再生材料として重要であること,後者は近接広葉樹林からの種子供給の重要性 を示唆している. |