301
亜熱帯林の再生過程に伴う生産量の動態とその時系列変異
山田島崇文
(鹿大教)
久保田康裕
沖縄島北部の二次林から極相林までに設定された固定プロットの動態データ(1998〜 2004)を用いて,亜熱帯林の再生過程に伴う生産量の動態を解析した。プロットの地 上部現存量は65.95〜295.45ton/ha/yであり,林齢とともに増大した。プロットの地 上部生長量は6.06〜17.80ton/ha/y,落葉量は7.04〜11.67ton/ha/y,被食量は0.23〜 1.08ton/ha/yであった。積み上げ法の結果,純生産量は13.70〜27.01ton/ha/yであ り,林齢に伴い減衰した。調査地は,2002年7月台風7号と同年8月台風16号の直 撃によって,大量の落葉(3.12〜6.76ton/ha)が生じた。特に,二次林では,2000〜 2002年の地上部生長量が9.76〜17.80ton/ha/yであったが,2002〜2004年は6.06〜 13.00ton/ha/yと減衰した。一方極相林では,台風後地上部生長量や純生産量は増大 する傾向が見られた。これらの結果に基づき,過去8年間の時系列変異とそれに対す る台風撹乱の影響を考察した。


302
西表島仲良川流域のマングローブ林におけるリターフォール
榎木 勉
(九大農)
安田恵子
西表島仲良川流域に分布するマングローブ林においてリターフォール量 の測定を行った。オヒルギが優占する上流部とオヒルギとヤエヤマヒル ギが混交する下流部にそれぞれ4つの調査プロットを設置した。プロッ トは川岸から内陸に向かって幅10m長さ30mとした。各プ ロットには開口面積0.25m^2の円形リタートラップを川岸から内 陸に向かって10mおきに3個設置した。リターフォールは月 に1度回収し、オヒルギ、ヤエマヒルギ、メヒルギ各種の葉、花、枝 皮、胎生種子、その他に仕分けした後秤量した。各プロットで行われた 樹高2m以上の個体を対象にした毎木調査の結果と合わせて検討 すると、オヒルギとヤエヤマヒルギが混交する下流部では、樹高や胸高 断面積合計などが上流部と比較すると小さかったが、リターフォール生 産量は上流部と明からな違いは見られなかった。


303
熱帯雨林における林冠木の枯死率と枯死材集積量の時空的変動性
米田 健
(鹿大農)
水永博己
奥田敏統
Wan Rashida
半島部マレーシア、パソー森林保護区内の50haプロットおける最近20年間の林冠木(胸高直径30cm以上)の枯死率について、その経年的さらに空間的変動性を明らかにする。ついで、それら枯死履歴が判明している枯死木の現状観測に基づき、枯死後の林木の動態を解析する。