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造林未済地の植生
−常緑樹林帯の場合− |
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猪上信義
(福岡県森林研セ) 野田 亮 |
標高350m付近における皆伐後3年を経過した造林未済地の植生とその更新形態を 調査した。芽生えを含む立木密度は50,000〜80,000本/haで、その60%前後はアカメガシ ワ、カラスザンショウ、ヌルデなどの先駆種で占められ、ウラジロガシ、スダジイ、タブ ノキなどの常緑樹は 20〜30%であった。先駆種の99%は実生更新であり、その他落葉樹 でも90%に達するのに対して、常緑樹の80%は前の人工林下層木からの萌芽更新によるも のであった。 |
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施業放棄されたスギ人工林における稚樹の分布
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井上貴文
(九大生資環学府) 長 慶一郎 山内康平 鍛治清弘 椎葉康喜 井上一信 作田耕太郎 田代直明 榎木 勉 井上 晋 |
九州大学福岡演習林内に位置する、施業放棄後100年以上が経過したスギ人工林内に設置された1haのプロットにおいて稚樹の調査を行った。本プロットにおける胸高直径5cm以上の成木を対象とした毎木調査では、48種1410個体と多くの広葉樹の定着が確認されている。本研究では、プロット内に2m×2mのコドラートを100個設置し、樹高30cm以上2m未満の個体については樹高を、樹高2m以上の個体については胸高直径を測定した。稚樹は400u当り14種178個体が記録された。そのうち、アオキとヤブニッケイが大部分を占め、それぞれ66個体、62個体が見られた。成木で多く見られるヤブツバキやウラジロガシなどの稚樹はほとんど見られなかった。ほとんどの種の稚樹は、尾根部などの傾斜が緩やかで凸型の地形に多く分布する傾向が見られたが、アオキは分布に地形との明瞭な関係は見られなかった。 |
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ミズナラおよびミズメにおける抑制芽のデモグラフィと萌芽性の関係
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塚本麻衣子
(宮大農) 伊藤 哲 |
樹木の萌芽性を左右する直接的原因の1つとして萌芽の発生元である原基の数が考えられる。しかし、萌芽の原基については研究事例が少なく、その形成やデモグラフィについては不明 な点が多い。本研究では、抑制芽を萌芽の原基とし、撹乱後の萌芽性に差があるといわれているミズナラとミズメについて、抑制芽のデモグラフィと萌芽性の関係を明らかにすることを目 的とした。当年生から3年生までのシュート、および伐倒・剥皮した幹(高さ0.3-1.3m部位)の芽の分布を調査した。その結果、種間および種内で抑制芽のデモグラフィに違いが見られ た。また、1年生シュートでの抑制芽の形成が幹上の抑制芽数に影響を与えている要因のひとつであることが示唆された。これらの結果と伐採後の萌芽の発生本数および発生量の比較に基 づき、抑制芽のデモグラフィと萌芽性の関係について考察する。 |