401
複層林に関する研究(X)
−下層木の成長について−
桑野泰光
(福岡県森林研セ)
佐々木重行
近年、森林への期待は木材生産から水土保全等の公益的機能の維持増進へと変化してきて おり、それに応える森林として複層林が注目されてきた。しかし、複層林施業の歴史は浅 く、造成後から長期にわたり継続した調査研究が行われた例は少ない。 福岡県では、1983年に水源かん養の増進や土砂流亡防止効果などの公益的機能の発揮 に向けた水土保全機能強化モデル事業が実施され、この事業の一環として複層林の固定プ ロットを設け試験地として継続調査を行っている。 造成後、10年を経過した頃から植栽木の成長にともなう林内照度の低下により、下層植 生が減少し、水土保全機能の低下が懸念された。そのことをうけ、2001年から200 4年にかけて上層木、下層木の間伐を実施した。 そこで、今回は造成後20年が経過した複層林における下層木の成長について、特に間伐が 与える影響に着目して報告する。


402
植栽条件別ケヤキの成長
岩切裕司
(宮崎林技センタ−)
黒木逸郎
帯状及び群状、植栽密度を変えて植栽したケヤキ試 験林を平成6年度に設定した。  今回は、その後の生育状況を調査したので、その概 要について報告する。


403
閉鎖状態にあるスギ人工林の光環境と樹冠構造
重永英年
(森林総研九州)
川崎達郎
間伐によって、残存個体はあらたな枝葉展開のための物理的空間と、改善された光環 境というふたつの資源を獲得し、その後自身の樹冠を発達させることで、再び、閉鎖 状態の林分を形成していく。間伐が生産力に及ぼす効果を評価するには、閉鎖状態、 間伐による林冠疎開とその後の再閉鎖という時間経過のなかで、光合成器官である シュートの伸長、そして樹冠構造がどのように発達していくのかを空間と光環境との 関係において把握する必要がある。本研究では、林冠にアクセスが可能なスギ人工林 において、隣接木除去による林冠疎開処理を行う前の、閉鎖状態での樹冠部の光環 境、一次枝先端の空間分布、枝の伸長特性について報告する。