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帯状伐採による林床の微気象環境の変化
作田耕太郎
(九大農)
谷口 奨
帯状伐採による林分の更新は,素材生産・林地保全そして生物多様性維持など多面的に有効な手法として位置づけられており,植 栽された更新木の成長も皆伐地と比較して遜色ないとの報告もある.しかしながら,帯状伐採地がどのような微気象環境の特徴を有 しているかは,不明な点が多く明らかにされるべきである.  本研究は,帯状伐採を行った林分の,特に植栽木の生育や下層植生に影響を及ぼす林床部分の微気象環境について明らかにするこ とを目的とした.2004年7月に,福岡県糟屋郡新宮町の九州大学農学部立花口圃場内の21年生ヒノキ林分に対し,樹高幅 (12m)程度の帯状伐採を施した.伐採の前後での光環境変化を全天写真によって推定し,伐採後ただちに設置した大気の温湿度, 地温そして土壌含水率測定用のセンサーによるモニタリングを約1年間継続し,伐採部と林縁部そして林内部の3つの区分ごとに解析 し,比較を行った.


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九大構内に植栽された数種の木本植物の肥大成長特性
保坂武宣
(九大農)
玉泉幸一郎
樹木の肥大成長の開始は、環孔材で早く、散孔材で遅くなることが知られている。 しかし、同じ道管配列を持つ種間の差については明らかでない。そこで、本研究では 九大構内に植栽された13種の木本植物を対象として、それらの肥大成長の特性を明 らかにすることを目的とした。 対象木は環孔材の樹種が6種(ケヤキ、センダン、ニセアカシア、クヌギ、シンジュ、 シマトネリコ)、散孔材・放射孔材の樹種が5種(クスノキ、タブノキ、カンヒザク ラ、マテバシイ、シラカシ)、針葉樹が2種(スギ、クロマツ)であった。  測定は、半径方向の1地点を測定するデンドロメーターを使用し、1μm単位で測 定した。測定期間は2001年〜2003年までの3年間であった。これらの測定結果をもとに、 個体内変動、個体間変動、種間差について比較する。


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タケ個体群増加速度は親竹の密度に依存するのか
林 加奈子
(熊本県立大環境)
管理された竹林では親竹の密度がタケノコの生産量に影響するということは知られている。自然状態においてもタケの増加速度は親竹の密度に依存して変化 するだろうか。  熊本市の戸島山(総面積約25ha)では、タケノコ生産のためモウソウチク(Phyllostachys pubscence)が1950年頃に植栽された。その後竹林は適切な管理が行われなかったため周囲の二次林へ侵入し、1981年から2002年までの およそ20年間で竹林面積は約4haから14.4haにまで増加した。  本研究では、竹林の適切な管理手法を探るため、戸島山内の(1)完全に竹林に覆われた所、(2)竹林と常緑広葉樹が混生している所、(3)これからタ ケが侵入しそうな常緑広葉樹林の3点に調査区を設置し、これらの調査区内でのタケの加入速度と死亡速度を比較した。この比較により上述の疑問に答える。