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枝垂れ性樹木の葉の分布と生理的機能の特性
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陶山健一郎
(九大農) 作田耕太郎 |
シダレザクラなどの枝垂れ性の樹木の枝は、二次成長が不完全であり、下方に向かって 伸長する特徴がある。よって枝垂れ性枝先端部の葉は枝基部に比べて低い位置に着生す ることになり、枝垂れ性樹木は特徴的な樹形を呈する。したがって、枝垂れ性樹木の葉 群分布と樹冠内での個々の葉の受光状態や生理的機能なども一般的な樹木とは大きく異 なったパターンとなることが予想される。本研究は、枝垂れ性樹木の枝の特性と生理的 特性との関係性について明らかにすることを目的とし、九州大学農学部構内に植栽され たシダレザクラと隣接するソメイヨシノを対象木として、着生位置ごとの枝の形状と着 葉状態を調べ、さらに、個々の葉の光環境と光合成機能などについて解析を行なった。 |
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斜面の上部と下部に植栽されたスギ・ヒノキ若齢木の当年生シュートにおける光合成特性
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草野瑛司
(九大生資環学府) 作田耕太郎 小林 元 |
林地に植栽された樹木の生育は、植栽位置の立地条件に大きく規定される。山地 斜面においては斜面の上下で立地条件に差があり、植栽木の成長は斜面下部で良 好となる場合が多い。このような樹木の成長差は生理状態を反映したものと予想 される。また、日本の主要造林樹種であるスギとヒノキでは立地条件に対する成 長や生理的応答に種間差があることが指摘されているものの、苗木を使った圃場 試験によるものが多く、実際の林地における植栽木での試験例はあまり多くな く、より明らかにする必要がある。本研究では、九州大学農学部附属福岡演習林 の同一斜面上に生育する14年生のスギとヒノキを対象として、切り枝による当年 生シュートの光−光合成曲線の作成を行い、光合成特性の差異について種内およ び種間で検討した。 |
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同一地域に植栽されたカシ類の光合成速度の季節変化
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香山雅純
(森林総研九州) 江藤幸二 梶本卓也 |
我が国の暖温帯林を構成する主要樹種であるカシ類は8 種が記載され、各樹種とも異なる分布域を持つ。一般的に、樹木間における様々な生 育環境の利用の仕方は、光合成特性から評価が可能である。植物の資源利用特性に関 しては生育環境の違いによって二種類に分けられる。肥沃な環境に生育する多資源多 利用型は、高い光合成能力を持ち、高い葉内窒素濃度を示す。一方、貧栄養環境に生 育する少資源効率利用型は、光合成速度、窒素濃度は低いが、寿命が長くて丈夫な葉 を持ち、光合成能力を長期間維持できる。しかし、カシ類の光合成特性に関しては断 片的な研究が多く、各カシ類の資源利用特性は明らかにされていない。本研究は、成 長特性に関してまだ不明な点が多いカシ類に関して、生育環境の等しい同一地域に植 栽された8樹種の光合成特性と、光合成速度に密接に関わる葉内窒素濃度、クロロ フィル濃度に関して季節を追って測定し、樹種間で比較、検討した。 |