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広葉樹造林地における穿孔性害虫の被害実態調査
津々見英樹
(熊本県林研指)
野口琢郎
近年、広葉樹の人工造林面積が増えており、害虫の被害も発生している。この 被害は、材質劣化や強風による折損の原因となるだけでなく、樹木枯損の原因 にも繋がることから、広葉樹を管理する上で大きな問題である。 また、国土保全を目的に植栽される広葉樹については、健全な広葉樹林の造成 が強く求められている。そこで、広葉樹害虫の中でも、材質劣化や強風による 折損を引き起こし、健全な広葉樹林の造成に大きな支障をきたす恐れのある穿 孔性害虫の被害実態を調査したのでその結果を報告する。  


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大隅半島におけるカシノナガキクイムシ2集団の分布の現況
後藤秀章
(森総研九州)
カシノナガキクイムシは、ナラ類の集団枯損の原因であるRaffaelea quercivoraの媒介者である。国内のカシノナガキクイムシには、日本海 沿岸を中心として分布する集団(以下、日本海型)と紀伊半島・南西諸 島に分布する集団(同、太平洋型)の、遺伝的に異なる2つの集団があ ることがわかっている。2つの集団が同所的に分布する場所はこれまで 見つかっていない。九州では薩摩半島と大隅半島の先端部に太平洋型 が、それ以外の地域には日本海型が分布することがわかっているが、2 つの集団の分布は非常に近接しており、その中間の地域には、2つの集 団が同所的に分布している可能性が高い。そこで大隅半島の両集団の分 布が接すると考えられる地域において調査を行い、この地域における両 集団の分布の現況を明らかにした。


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奄美大島におけるリュウキュウマツ青変菌に関与するキクイムシ
住吉博和
(鹿児島県林試龍郷)
臼井陽介
佐藤嘉一
奄美地域に自生しているリュウキュウマツは材色・木目が美しく家具材や工芸用材料として利用価値の高い森林資源である。しかし,伐採後のマツ材は青変菌による変色被害を受けやすく,被害材の商品価値は著しく低下するため,マツ材利用上の最大の問題となっている。  このため,リュウキュウマツ材へ青変菌を伝搬すると考えられる樹皮下穿孔キクイムシについて,奄美における活動消長,穿孔時期及び青変菌との関係を調査した。奄美では年間を通じてマツを加害するキクイムシが活動していること,特に夏季に穿孔が活発なキイロコキクイムシが青変菌伝搬に大きく関与するものと考えられた。  


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2005年に九州地方で採集された昆虫病原菌類について
佐藤大樹
(森林総研九州)
中尾登志雄
2005年に九州地方で採集された昆虫病原菌類について 佐藤大樹(森林総合研究所九州支所) 日本は、多くの昆虫病原菌を産し、とりわけ沖縄県や奄美大島では多くの種類が産することは知られているが、九州本土での記録例は 多くない。そこで、大分県の男池、森林総合研究所構内、その他で採集された昆虫病原菌の種と特徴を記録した。男池では1) Paecilomyces farinosus コナサナギタケ(寄主チョウ目の蛹)、2) P. tenuipes ハナサナギタケ(チョウ目の蛹)、3) Cordyceps nutans カメムシタケ(カメムシ類の成虫)、4) Cordyceps. sp.(朽ち木性の甲虫の幼虫)を得た。5) Beauveria bassianaは筋湯温泉 付近の法面で採集した。森林総合研究所構内では6) P. cicadae ツクツクボウシタケ (セミの幼虫)、7) Isaria takamizusanensis セ ミノハリセンボン(クマゼミ成虫)を得た。