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シロダモ生葉からの内生菌の分離
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畑 邦彦
(鹿大農) 曽根晃一 |
樹木の内生菌の研究において、下層植生を構成する樹種については知見が少ない。そこで、広葉樹林及び針葉樹林の下層に生育しているシロダモの 生葉より内生菌を分離し、内生菌相の概略を把握すると共に、林冠が下層植生の内生菌相に影響を与えるか確認を試みた。試料葉は2004年1月12日 に鹿児島大学高隈演習林において広葉樹林と針葉樹林が隣接する場所二箇所に設置した調査サイトの広葉樹林側、針葉樹林側の計4林分より採取 し、葉身部と葉柄から表面殺菌法を用いて内生菌の分離を行った。その結果、葉身部ではCytosphaera sp. と子嚢菌の一種、葉柄からはクロサイワ イタケ科の一種とPhomopsis属の菌が比較的高頻度で分離された。内生菌の分離パターンは葉身部では林分ごとにかなり異なっていたが、葉柄では 比較的類似していた。林冠の植生の違いは内生菌の分離頻度に有意な影響を概ね与えていなかった。 |
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タブノキの実生の内生菌相
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松永久美
(鹿大農) 畑 邦彦 曽根晃一 |
昨年の本支部会で我々はタブノキを含むクスノキ科樹木の成木における内生菌相に関する調査結果を発表し、これら樹木の内生菌相は部位間・調査地間で大きな違いがあることを明らかにした。今回はタブノキの実生における内生菌相を調査し、成木のケースと比較した。2006年6月23日と26日に鹿児島県の鹿児島大学高隈演習林、桜島、鹿児島大学演習林実験苗畑でタブノキの実生を採取した。採取した実生は葉身、葉柄、茎の3部位から表面殺菌法を用いて内生菌の分離を行った。その結果、葉身・葉柄ではColletotrichum acutatum、Colletotrichum gloeosporioidesが高頻度で分離され、茎ではそれら2種に加えてPhomopsis sp.が高頻度で出現した。成木の場合と比べ、調査地間の菌相の差は小さいという傾向が認められた。 |
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暗色枝枯病発生と枝の大きさの関係
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讃井孝義
(宮崎県林技セ) |
通常、暗色枝枯病は、一次枝が枯れる被害が一般には知られている。 枝の調査を行うと、被害の発生は後生枝などからの ことが多く、健全材でも節の付近には小さな暗色枝枯病の痕跡が見られることがある。 そこで、被害木の円板について被害発生枝の直径を 測定し、それが一次枝の被害にどのように関与しているのかを調査した。 |