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宮崎県産スギ精英樹のピロディン実証値を用いた密度の検証
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田上敏彦
(宮崎県林技センター) 倉原雄二 倉本哲嗣 星 比呂志 |
宮崎県内でスギは民有林で約18万ha植栽されている。今後の公益的機能を考えたとき、密度が高く、二酸化炭素固定能に優れたスギ精英樹の育種選抜を進めることも重要な目標の1つであると考える。スギの容積密度はピロディンで簡便に検討できるとの報告があるが、九州地方ではあまり行われていない。そこで、宮崎県林業技術センターと林木育種センター九州育種場に植栽されている宮崎県産スギ精英樹を対象にピロディン観測値で密度に関する選抜が可能か、また、若齢木でのスクリーニングが可能かどうか検討した。 |
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スギの品種及び年次別の雄花着生量
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佐々木義則
(大分県林試) |
近年、都市部を中心として花粉症患者が急増しており、大きな社会問題となっている。そこで、花粉症対策の一環として、大分県内の51ヶ所の定点スギ林について、平成13〜17年の5年間にわたり雄花着生調査を実施した。その結果、雄花着生量は、品種及び7月(花芽分化期)の気温等の気象条件の違いによって大きな差異が認められた。 これらのことから、品種の選択により花粉の発生を抑制することができ、また、7月の気象条件によって翌年春季の花粉発生量の多少を推定することが可能と考えられた。 |
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MuPSマーカーによるスギさし木在来品種アヤスギのDNA分析
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草野僚一
(熊本県林研指) |
熊本県は古くからのスギさし木林業地帯であり、数多くの在来品種が存在している。その一つであるアヤスギは、壮齢時以降は幹が通直完満になり,断面形も正円になる特性を持つと言われており(宮島,1989)その特性から熊本県北部の阿蘇地方,鹿本地方,菊池地方を中心に広く植栽されている。在来品種には、地域や時代によって呼称が異なり、異名同種、同名異種のものがあるとされており(宮島,1989)また、実際に、一つの品種が複数のクローン(遺伝子型)で構成されていることがいくつかの品種で報告されている(高田・白石,1996;後藤ら,1999;家入ら,2003)。今回,県内のアヤスギの遺伝子型別構成比率を推定するために、MuPSマーカー(久枝ら,2003)を用いて分析を行ったので、報告する。 |
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マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツの核DNA4領域のハプロタイプを用いた家系解析
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三樹陽一郎
((宮崎県林技センター) 白石 進 |
マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ(以下,抵抗性クロマツ)種子の単相胚乳の核DNAを用いて,SNP(single nucleotide polymorphisms)マーカーによるハプロタイプの解析を試み,親子鑑定システムの構築への可能性について検討してきた。 これまでの研究において,抵抗性クロマツのPt2763及びPt3113領域中に存在するそれぞれ4サイト及び5サイトのSNPを用いて,判明したハプロタイプを基に実生後代の遺伝子型によるモデルデータベースを作成して検討したところ,複数の交配親候補をもつ遺伝子型が多数あり,親決定まで至る割合が少なかった。そこで,本研究では,さらに新たな2領域(Pt2747及びPt3093)に存在する約8個のSNPを追加し,親の組合せが1対に絞り込むことのできる遺伝子型の割合を高め,交配親の遡及能向上を試みた。 |
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18S rDNAを用いた広葉樹DNA材鑑(一次鑑定)データベース
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田川真理
(九大生資環学府) 白石 進 |
広葉樹は木材利用上からも大変重要な樹種である。これまで広葉樹材の樹種識別に用いられてきた木材解剖学的識別法では、種レベルまで同定するのは困難とされている。近年、ヒノキ属7種の識別(坂本2006)などで、DNA塩基配列多型を用いた樹種識別が報告されている。広葉樹材において、DNA情報を利用して識別を行うためには、塩基配列データの中からインフォーマティブサイトに関する情報の集積が不可欠である。本研究では、広葉樹16科の樹種を用いて、核DNA中のリボソーマルRNA遺伝子18S領域の塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報を解析し,広葉樹DNA材鑑の一次鑑定(属オーダーの分類)における18SrDNAの塩基配列多型の利用への可能性を評価した。 |