709
35SプロモーターとREF(rubber elongation factor)プロモーターの比較
長井加奈
(九大生資環学府)
玉泉幸一郎
天然ゴムは植物から得られ、化石資源の代替として有用な資源である。天然ゴムの主要生産樹種であるパラゴムノキは遺伝子組換えの実験材料として扱いにくいため、われわれはモデル植物としてペリプロカを用いて研究を行っている。遺伝子組換えにおいて一般に用いられる35Sプロモーターは、植物体の全組織で外来遺伝子の発現を促し、植物体の代謝やゴム生産に負荷をかける可能性がある。そのため、我々はゴムを生産する器官である乳管で特異的に遺伝子発現を促すプロモーターの探索を行っている。 REFプロモーターはパラゴムノキの乳管で特異的に発現する遺伝子のプロモーターであると報告されている。そこでREFプロモーターをパラゴムの遺伝子よりクローニングし、GUS遺伝子をマーカー遺伝子としたベクターを作成した。このベクターをペリプロカへ導入し、組換え体の組織を観察した。この結果からREFプロモーターの有用性について考察を行った。


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パラゴム葯カルスを用いた振とう培養による不定胚誘導条件の検討
仲山美葵
(九大生資環学府)
玉泉幸一郎
パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)は、ブラジル原産のトウダイグサ科の常緑広葉樹で、乳液が天然ゴムの原料となることから、現在、東南アジアの熱帯地域を中心に プランテーションでの大規模栽培が行われている。乳液は、樹齢5,6年に達したものから収集され、年長の木ほど多くの乳液を出すことが知られている。しか しながら、近年、石油価格の上昇による合成ゴムの価格上昇などを受けて、天然ゴムの需要が高まる傾向にあり、価格の上昇が続いている。 このようなことから 本研究では、遺伝子組み換え技術によって「成長が早い」「乳液生産量が高い」などの品種の開発を行うことを目的としている。 ここでは外来遺伝子導入時に必要となる組織培養法として、振とう培養で不定胚を誘導することによる植物体再生系の確立について検討した。