907
原木シイタケを加害するキノコバエについて
村上康明
(大分県きのこ研)
大分県の生シイタケ品評会において、2000年、2001年と連続してシイタケ子実体 からウジ虫様の幼虫が発見され、羽化試験によってキノコバエの幼虫であることがわ かった。この虫については、過去に出荷先からの返品等のクレームもあったが、種類 や生態についてはわかっていなかったので、種を同定し、生態や防除法の研究を行っ た。  幼虫は、5〜8ミリの大きさで、多数入った場合にはシイタケの柄が柔らかくなっ ていた。採取したシイタケから虫を羽化させる「羽化試験」、捕虫網で飛んでいる虫 を捕獲する「捕虫網試験」、同様に誘引して捕獲する「粘着トラップ試験」と「乳酸 菌飲料誘引捕殺試験」を実施した結果、加害している昆虫は主にシイタケトンボキノ コバエとナカモンナミキノコバエであること、成虫は10月〜12月、並びに3月〜 5月に羽化すること、取り残しのシイタケに幼虫が多く入っていることなどがわかっ た。


908
シイタケの黒腐れ病調査のための山浦試験地の気象
角田光利
(森林総研九州)
谷口 實
宮崎和弘
故日高忠利
久保田暢子
松尾芳徳
石井秀之
野上知美
1990年〜1992年に試験を行った。4月〜11月に大分県玖珠郡山浦に伏せ 込んだほだ木は罹病したが、熊本市の九州支所実験林に伏せたほだ木は罹病し なかった。山浦は冷涼で旬ごとの気温は10.2℃から23.6℃の範囲であった。ほ だ木の中央部分の辺材部の温度は気温とほぼ同一であった。4月下旬から7月 までは山浦試験地の相対湿度は支所実験林より低い場合があるが、8月以降は 支所実験林より高くなる傾向があった。飽差は梅雨時期までは支所実験林と大 差ないが、8月以降高くなり、ほだ木からの水分の蒸発量は少いと考えられ る。山浦の旬ごとの降雨量は熊本市より若干多い傾向があった。1992年の9 月、10月は降雨が少なかったが、被害は生じた。梅雨時期前までは各試験地の ほだ木の伏せ込み当初との重量比はほとんど変わらないが、8月以後支所実験 林では急速に減少するが、山浦では減少の割合は緩慢であった。


909
きのこ菌床栽培における害菌の病原性の判別
新田 剛
(宮崎県林技セ)
宮崎和弘
現在、我々は栽培者自身がきのこ栽培施設における 害菌調査を行うための診断キットの開発をすすめてい る。その中で、施設から分離される菌類の種類を検索 することが出来る「診断ソフトウェア」の基礎データ となる害菌の病原性について、両口試験管を用いた対 峙培養試験を行いデータを蓄積中である。  今回、数種のきのことトリコデルマ属菌等について 病原性の判別の検討を行ったので、その結果について 報告する。