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親竹として残すべきタケノコの選定基準の再検討
−モウソウチク侵入前線部で発生したタケノコの形質的特徴− |
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片野田逸朗
(鹿児島県林試) |
モウソウチク侵入前線部とたけのこ生産竹林で発生したタケノコの形質を比較 した。その結果,侵入前線部では肩毛が山吹色のタケノコが68%と最も多かったが, たけのこ生産竹林では肩毛がレンガ色のものが76%と最も多く,両者の出現様式には 有意差がみられた。また,前線部のタケノコは生産竹林のものよりも葉片開出度が有 意に大きく,肩毛の色と葉片開出度との間には相関がみられた。さらに,前線部で成 長を続けたタケノコの全てが山吹色の肩毛を有していた。前線部は生産竹林よりも若 くて活力ある地下茎が多いと考えられることから,たけのこ生産竹林で若い活力ある 地下茎から発生したタケノコを親竹として残すには,肩毛が山吹色のものを選定する ことが一つの有効な手段になるものと推察された。 |
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山菜としてのゴウシュウタニワタリの林間栽培における発生状況
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宮城健
(沖縄県森林資源研) 喜友名朝次 |
タニワタリと名のつくシダ植物は沖縄県内に4種あり、一般的に呼ばれているのは オオタニワタリである。他の3種は天然記念物のヒメタニワタリとシマオオタニ ワタリ、 それにゴウシュウタニワタリ(リュウキュウトリノスシダ)である。オオタニワ タリ類は シダ植物として数少ない観葉植物で、多湿、半日陰を好み、葉はみずみずしく涼味 満点である。本県ではオオタニワタリ類の切り花用として広く施設栽培が行われて おり、山菜としては八重山地域で一部生産されているだけである。今のところ花材 としての需要にとどまっているいるオオタニワタリ類を、山菜として郷土料理等に 用い需要拡大を図っていくためには、林間栽培等における栽培技術を確立していく 必要がある。そこで、林間栽培における山菜としての栽培管理技術の基礎資料を 得る目的で、摘要時宜別の年間を通した発生状況や品質等を調査したので報告する。 |
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ソテツ切り葉の生産技術について
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穂山浩平
(鹿児島県林試龍郷) 井手幸樹 |
奄美群島は日本でも有数のソテツ自生地であり,その面積は1,900haに達する。近年、それらソテツ資源を有効的に活用するため、特用林産物として種子、苗木、切り葉を生産・出荷している。これまでの試験研究により種苗の生産技術はほぼ確立されているが、切り葉については生産技術が確立されておらず、経験的に生産を行っているのが現状であり、このことは安定した品質の確保する上で大きな問題といえる。 今回、ソテツ切り葉の生産技術の確立を目的に、ソテツ成木の生態調査、施肥試験、切り葉の鮮度保持試験等を行ったので、その結果について報告する。 |