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宮崎県における架線集材の現状と課題
藤掛一郎
(宮大農)
 素材生産の現場では、1990年代から車両系集材が普及し、架線集材はそれに取って代わられてきた。しかし一方で、架線集材を評価する声もある。本研究では、宮崎県内の素材生産事業体4社を対象に、架線集材とそれを担いうる技術者育成の現状を調査し、架線集材が置かれている状況と今後の課題について考察した。聞き取り調査の結果から、1)架線集材が必要な場合、その方が効率がよい場合があり、架線集材は今後も重要な技術であること、2)架線集材技術は人の力量に頼る面が大きく、長期にわたる現場での人材育成が重要な課題であること、3)車両系集材の台頭により、架線集材の現場が減り、事業体が人を育てる場と、人を育てる余裕を失っていること、が導かれた。


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九州における森林環境税事業の概要 ‐強度間伐事業を中心に‐
中間 ちひろ(九大生資環)
佐藤 宣子
 近年,森林環境税は全国的に導入が進んでおり,九州でも今年度の福岡,佐賀県の導入により,沖縄を除く7県が実施することとなった。各県の森林環境税事業は,森林の公益的機能発揮を目的として,県が中心となって森林整備を行うハード事業と県民への普及啓発を行うソフト事業を設けている。 本研究では,導入7県における森林環境税事業,特に税事業の中心に位置付けられている強度間伐を行う事業に注目し,その実施状況の現状分析を行い,森林環境税事業の効果と課題を考察した。調査方法としては,各県の県庁,関連する行政機関への聞き取り調査や資料収集を実施した。