105
林業労働者の就業実態と意識構造―全国アンケートの結果から―
興梠克久
(九大院農)
 林業労働者の就業の経緯や労働条件,林業就業に対する意識の変化等を把握するため,全国の主要林業事業体(2,520)に雇用されている者を対象としたアンケートを2007年11月に実施した。調査経費,時間の制約上,就業年数の異なる者の比較により,就業後の意識変化を把握し,事業体の雇用戦略との関連についても言及する。


106
林業生産管理の人材養成に関わる一考察
枚田邦宏
(鹿大農)
寺岡行雄
奥山洋一郎
 林業生産のための森林の施業の実施、間伐・主伐等の実施など、いままで森林所有者が決定してきた事項を自から判断する能力の低下が見られる。これに対して森林組合を中心に第三者(職員等)による施業提案をすることが求められている。これに伴って、京都府日吉町森林組合のモデルを全国に普及するために講習会等が盛んに行われている。本報告では、いままで現場を管理する技術者養成として、どのようなことが行われてきたのか、今回の施業提案の能力は、どこが違うのか、どのような研修が求めあれているかについて、鹿児島大学の社会人大学院の教育プログラムを事例に取り上げながら、考察したいと考えている。


107
鹿児島大学における林業生産技術者養成プログラムについて
寺岡行雄
(鹿大農)
枚田邦宏
奥山洋一郎
 文部科学省社会人の学び直しニーズ対応推進事業として、林業生産専門技術者の養成プログラムを平成19年度から開始した。19年度は9名、20年度の第1回目として11名の受講生を迎え、124時間(19年度は80時間)の講義と実習を実施している。受講生は鹿児島県内だけでなく、熊本、宮崎からも応募が来ていることから、九州での林業技術者養成という色彩を帯びるようになってきた。学び直し事業は21年度まで継続するが、中間時点での実施内容とこれまでの課題、今後の展開について報告する。


108
森林セラピー事業の展開と課題−宮崎県日之影町を事例として−
中野絵梨郁
(九大農)
溝上 展也
吉田 茂二郎
 近年、森林の持つ保健休養機能に注目が集まっている。森林内での活動が身体に及ぼす影響も科学的に解明されつつあり、その効果をリハビリテーションに用いる動きも見られ始めている。そんな中、平成16年から林野庁主導のもと「森林セラピー研究会」が発足し、森林セラピー事業が開始された。森林セラピーとは科学的検証の行われたセラピーロード等を利用して健康増進やリハビリテーションへの活用をはかることを目的とした事業である。現在森林フィールドでの実験を行う「森林セラピー基地」は全国で31カ所ある。これらを今後より適切に運営するうえで、森林セラピー基地での運営状況を把握する必要がある。しかし森林セラピー基地での具体的な実践方法や体制、来訪者の満足感等はあまり明らかにされていない。そこで本研究では宮崎県日之影町を事例として具体的な実践方法や体制、来訪者の満足感等について検討した。