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ヤクスギ稚樹個体群の動態と林床光環境の関係
高嶋敦史
(琉大農)
 ヤクスギ林では,既往の研究によって林分構造や成木の動態は解明されつつあるが,更新に関する情報はほとんど記録されていない。そこで本研究では,ヤクスギ林内に設置された2箇所の固定試験地(各1ha)において,4〜5年間のスギ稚樹の動態を
把握し,ヤクスギの更新メカニズム解明のための基礎情報を得ることを試みた。また本研究では,スギ稚樹生育箇所の光環境を全天空写真で把握することにより,スギ稚樹の成長と光環境の関連についても検討した。その結果,スギ稚樹は,限られたギャ
ップの倒木上に偏って発生し続けている様子が明らかになった。また,スギ稚樹の成長は,生育箇所の光環境に大きく依存していることも示された。


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常緑広葉樹林における主要構成樹種の光環境への対応
坂本明日香
(宮大農)
高木正博
 森林を構成する樹種は、耐陰性等の種特性のみならず、環境に対する可塑性や生活史特性が異なっている。また、森林内のヘテロな環境下で、特に斜面の上部と下部では微地形そのものだけでなく群落構造が異なることにより、光環境が異なる。そこで、そのような地形状に成立した常緑広葉樹林において構成樹種がそれぞれの特性に従い、どのような光環境に対しているのか明らかにすることを目的として調査を行った。調査地は、宮崎大学農学部田野フィールドの約90年生常緑広葉樹二次林である。調査地に調査区を設置し、常緑広葉樹林の主要な構成樹種の胸高直径3cm以上の個体について、森林内の樹冠の位置による光環境を調査した。森林内の樹冠の位置は、Aiba & Kohyama(1997)の方法に基づき4段階評価を行った。この結果から、各樹種の光環境との対応について解析を行った。