405
沖縄島ヤンバル地域における皆伐後30年の林分構造
高橋玄
(琉大農)
高嶋敦史
新里孝和
 沖縄島北部のヤンバル地域はブナ科のイタジイが優占する亜熱帯性常緑広葉樹林が広がっている。この森林は数多くの固有種が存在し、複雑な生態系が形成されているため、森林利用においては生態系保全との調和が強く求められる。皆伐後の林分動態を把握することは、森林利用の際の重要な情報になりえると考える。既往の研究では、琉球大学与那フィールド内に設置された試験地において、皆伐前、皆伐後5年、皆伐後14年の林分構造と動態が示され、幹材積合計はそれぞれ、275.9 ㎥/ha、26.9 ㎥/ha、141.6 ㎥/haとなっていた。極相林に近いと考えられる伐採前の天然林と比べ、伐採後14 年で幹材積は約半分まで回復していた。本研究では、新たに皆伐後30年の林分構造を調査し、既往の研究と比較・検討を行った。


406
名護市大浦川マングローブ林の林分構造
高橋遼
(琉大農)
谷口真吾
中須賀常雄
 名護市大浦川マングローブ林において、1992年から2008年にかけて林分構造の変遷を調査した。その結果、大浦川マングローブ林の構成樹種は、オヒルギ、メヒルギ及びヤエヤマヒルギの3樹種で変化なく、分布面積は、矮性型メヒルギ低木林の拡大により、増大した。また、高木型のメヒルギ林が衰退し、オヒルギ優占林へと遷移した。更に、2008年調査において、土壌間隙水の塩濃度、pH、成分組成及び水位計による冠水頻度を分析・測定したので報告する。


407
放置モウソウチク林の林分構造と地上部現存量
久米村明
(鹿大農)
竹内郁雄
寺岡行雄
 近年,放置竹林の増加・拡大が問題となっている。竹を資源として有効に利用する方法も検討されているが,放置竹林の地上部現存量に関する報告は少ない。本報告は,鹿児島県における放置モウソウチク林での林分構造と地上部現存量を検討した。調査は,2006年12月から2007年4月の生育休止期に調査地を4箇所設定し,胸高直径,稈高,枝下高などを測定した。調査地ごとに古竹と新竹をそれぞれ8本程度伐倒し,稈・枝葉量を測定して地上部現存量を推定した。各林分は,生存竹密度が5,000〜6,130本/haで,枯死したが根とつながっている枯死竹は,生存竹密度の12〜23%であった。生存竹の胸高断面積合計は45.6〜83.0u/ha,地上部現存量は 82.8〜146.6t/haであった。また,各林分のクローネ長や地上部現存量を簡易に推定する方法についての検討も行った。