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モモタマナ(Terminalia catappa)の性表現と果実生産
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谷口真吾 (琉大農) 西原史子 中須賀常雄 |
モモタマナ(シクンシ科)は雌雄同株の半落葉性高木として東南アジア、南太平洋諸島などの熱帯、亜熱帯域に広く分布する有用樹である。モモタマナの繁殖様式を解明するため、個体群の性表現ならびにモジュール単位での果実の生残と成熟過程を調査した。5月上旬に開花した花は腋生の穂状花序であった。性表現は花序の上方に雄花、下方に雌花あるいは両性花の3性の性型が確認できた。モモタマナは、5月上旬の開花後から数ヶ月にわたり、花序の開花と枯死脱落を繰り返し、その都度、幼果実を生産した。このように、開花と結実を生育期の長期間にわたり繰り返すモモタマナの開花結実機構に関する適応戦略を考察する。 |
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沖縄産ヒルギ科3樹種の葉の外部形態
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中須賀常雄 (琉大農) 谷口真吾 |
沖縄産ヒルギ科樹種、オヒルギ、メヒルギ及びヤエヤマヒルギの葉の外部形態の特性と、各樹種の生態特性との関連について報告する。 |
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広域的に分布する樹木2種の発芽特性の地域間変異
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安部哲人 (森林総研九州) |
種子の発芽特性は環境が異なる自生地間で種内変異がみられることがよくある.センダンとシャリンバイはともに日本本土から南西諸島,および小笠原諸島に広域的に分布する樹種であるが,より温暖な小笠原諸島では冷処理による休眠打破機構を持たない可能性がある.このことを明らかにするため,熊本のセンダンと伊豆のシャリンバイを用いて,それぞれ小笠原諸島産の種子と比較した.その結果,センダンは冷処理(7℃90日と3℃90日)を施すと両産地とも同じような発芽曲線を示したが,無処理では小笠原の発芽率が高くなった.また,シャリンバイは全処理で小笠原の発芽速度が速かったが,冷処理をかけることでその差は小さくなった.これらの違いから,小笠原産の種子は本土産と比較して,冷処理による休眠打破機構が弱い可能性があり,冬期の低温が厳しくない環境での適応と考えられた. |