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果実のサイズが鳥類の種子散布に与える影響
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平井周作 (鹿大院農) 平田令子 畑邦彦 曽根晃一 |
種子散布者として考えられているヒヨドリ、シロハラ、メジロの口角の幅と彼らが採食した果実のサイズとの関係を明らかにするために、2006年3月〜2008年3月まで、鹿児島大学構内において、鳥類を捕獲し、口角の幅の測定および糞内の種子の分析を行った。また、鳥類が採食した果実を採集しサイズを測定した。その結果、ヒヨドリ、シロハラ、メジロの口角の幅の平均は順に15.6o、14.1o、7.4oで、ヒヨドリの口角の幅はメジロの2倍以上大きかった。また、ヒヨドリは平均4.8〜13.9o、シロハラは4.0〜10.7oの大小幅広い大きさの果実を食べていたが、メジロは2.9〜8.6oと、他の2種より小さい果実を食べる傾向があった。この3種による採食可能な果実の大きさの範囲は4.8〜8.6oだった。この事から、この範囲内の果実は、口角の幅の大小様々な鳥による採食が可能であり、他のサイズの果実より、様々な種の鳥類により種子が散布される可能性が高いと考えられた。 |
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小笠原群島の外来種メジロの種子散布
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栄村奈緒子 (鹿大農) 川上和人 出口智広 畑邦彦 曽根晃一 |
本土から約1000km南に東京都の小笠原群島(聟島列島、父島列島、母島列島)がある。メジロは1900年頃、この地域に人為的に持ち込まれた外来種で、現在小笠原群島内で陸鳥の優占種として、もっとも普通に見られる種の一つとなっている。今のところ小笠原群島の生態系への影響は少ないとされ、移入種対策として駆除を行う緊急性、優先順位は低いと考えられている。本種は外来植物の種子を散布し、それらの分布拡大に貢献している可能性があるので、本種による種子散布の状況を明らかにすることは重要である。今回2004年〜2008年のメジロの繁殖時期である3月〜7月に、小笠原群島の各列島の主要な島である聟島、父島、母島でメジロの糞から検出された種子を調べ、種子散布者として働く可能性について考察した。 |
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リュウキュウマツ枯死木に営巣したノグチゲラの繁殖失敗事例
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小高信彦 (森林総研九州) |
ノグチゲラは沖縄島北部にのみ生息するキツツキ科の希少鳥類である。希少鳥類の保全を行う上で、個体の死亡や繁殖失敗の要因を明らかにする事が重要である。沖縄島北部では1970年代以降、マツ材線虫病による「松枯れ」現象が発生している。これまで松枯れの発生消長メカニズムや防除に関する研究は行われてきたが、希少野生生物に及ぼす影響についての研究は行われてこなかった。そこで、本発表ではリュウキュウマツ枯死木に営巣したノグチゲラの繁殖失敗事例を報告する。これまでにリュウキュウマツ枯死木に営巣し繁殖に失敗した事例を6例確認した。繁殖失敗要因は、それぞれ営巣中の巣木の倒壊(2例)、ハシブトガラスによる巣部の破壊(1例)、雨水の侵入による育雛放棄(1例)、捕食(2例)であった。半数にあたる3例(巣木の倒壊と巣部の破壊)は、巣部や巣木の強度不足が原因となる繁殖失敗であった。 |