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熊本県水上村におけるニホンジカ剥皮害の発生動向
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廣石和昭 (熊本県 林業研究指) 野口琢郎 近藤洋史 小泉透 |
熊本県においてもっともニホンジカの被害が激しい地域の1つである球磨郡水上村において、約1haの調査地を2か所設定して毎木調査を行い、剥皮害木の位置と発生年の情報を収集した。得られた情報から剥皮害の空間-時間データセットを作成し、空間的自己相関分析を行ったのでその結果について報告する。 |
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古処山地のヒノキ林で2007年に発生した角こすりとシカの利用頻度
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池田浩一 (福岡県森林 林業技術セ) 小泉透 桑野泰光 |
シカによる角こすり剥皮害の発生要因を明らかにするため、2007年3月から福岡県の中央部に位置する古処山地の嘉麻市小野谷、同市長野のヒノキ林にそれぞれ自動撮影カメラ4台を設置し、シカの利用頻度と被害発生の月別変化を調査した。角こすりは9〜11月に多発し、この間の被害率は小野谷が高かった。両調査地とも撮影されたシカおよびそのうちのオスの撮影頻度は季節的に変化したが、メスの撮影頻度は季節による変化が少なかった。4pointのオスは8〜2月にかけて撮影され、8〜11月の撮影頻度が高かった。角こすりが多発した9〜11月の4pointのオスの撮影頻度は小野谷で高く、メスの撮影頻度は長野で高かった。以上のことから、林分における角こすりの発生はその地を利用したシカの性、発育クラスの構成が関係していることが示唆された。 |
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ニホンジカによるヒノキ樹皮剥ぎ被害と枝打ちについて
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高宮立身 (大分県林試) 室雅道 |
ニホンジカによる樹皮剥ぎ被害は1回目の枝打ち直後に多発する傾向がみられる。対策としては、枝打ち後にバークガードなどの市販の防護資材を単木施工することにより防除できるが、コストがかかるためなかなか普及しないのが現状である。低コストな対策として枝条巻き付けがあり効果が認められているもの県内においてはほとんど普及していない。設置に技術と労力がかかることが障害なっているのではないかと考えられる。そこで、より省力的な対策として、枝打ちによる剥皮防止効果について検証した。その結果、被害を軽減することがわかったのでその結果を報告する。 |
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ニホンジカによる橋梁や防波堤のコリドーとしての利用
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曽根晃一 (鹿大農) 小田祥子 畑邦彦 |
長崎県五島列島の若松島、日島、有福島、漁生浦島を結ぶ橋梁と防波堤を、ニホンジカが移動にどのように利用しているのか明らかにするために、2007年6月から11月にかけて、毎月4−7夜連続して赤外線センサーカメラを設置し、ニホンジカの撮影を行った。撮影期間中、日島から漁生浦島にいたる4kmの車道に沿ってニホンジカのライトセンサスを行った。漁生浦島ではライトセンサスで観察数が少なく、若松島と漁生浦島を結ぶ橋梁での撮影枚数も少なかった。有福島と日島ではセンサスでの観察数が同じ位多かったが、撮影枚数は有福島−日島間の堤防の方が漁生島−有福島間の堤防より多かった。8月以降オスの観察数が増加し、撮影枚数や全撮影枚数に占めるオスの割合も増加した。有福島−日島間の防波堤では、撮影された個体の進行方向に偏りなみられなかった。生息密度が高い日島のシカは、有福島への移動に防波堤をよく利用していたと考えられた。 |