603
タブノキにおける内生菌低レベル感染実生の簡易作出法の検討
畑邦彦
(鹿大農)
松永久美
曽根晃一
 内生菌の感染していない樹木の実生を作出するためには、本来は無菌状態を維持した空間が必要であり、どこでも可能とはいかない。そこで、内生菌の感染を低レベルに抑えた実生を簡易に作出する方法を検討した。タブノキ種子をエタノールと過酸化水素水で表面殺菌し、滅菌バーミキュライトを入れたプランターに播種した。まずそれらを雨水の直接かかる場所で水道水を与えて生育させ、2週間後に内生菌の分離を行った。その結果、内生菌の感染率は葉で17.5%、茎で42.5%、根で50%と、野外よりかなり低いものの、低レベルとは言い難い水準であった。そこで、次に播種後室内で滅菌水を与えて生育させ、1ヵ月後に内生菌の分離を行った。その結果、内生菌の感染率は葉で4%、茎で6%、根で12%と著しく低く、種子の表面殺菌、滅菌バーミキュライトの使用に加え、雨水の遮断と滅菌水の使用が低レベル感染実生の作出に有効であることが示された。


604
福岡県八女郡東部でみられるスギ、ヒノキ人工林の枯損について
平野賢一
(福岡県
森林技術セ)
茅島信行
佐々木重行
 福岡県八女郡東部地域でスギ、ヒノキ人工林の枯損が見られる。スギ林の枯損は集団葉枯症状とは異なる衰退木や枯死木が見られる。ヒノキ林についても同様である。被害は林分全体ではなく林分内で部分的なものである。この枯損原因について、2004年に同地域に大きな被害をもたらした台風16号の影響や地形との関係について検討したので報告する。