801
複雑地形上に成立した常緑広葉樹二次林における土壌呼吸の季節変化
宮田義規
(宮大農)
高木正博
 現在森林の持つ二酸化炭素吸収能力の評価が盛んに行われており、土壌呼吸も森林生態系における炭素収支の重要な要素である。しかし、土壌呼吸は時・空間変動が大きいことが知られており、特に複雑な地形において調査された例は少ない。前回は、複雑地形に成立した常緑広葉樹二次林1haにおいて土壌呼吸の空間分布について報告した。今回は、土壌呼吸が時間的に変動する要因について明らかにすることを目的として、同調査区において土壌呼吸の季節変動を調査した。さらに、尾根と谷で根を切断した区と除去した区を設け、土壌呼吸量に占める根呼吸量の割合を推定した。また、取り出した根の呼吸速度の温度依存性についても測定した。


802
クヌギ人工林の地上部・地下部バイオマス量
高宮立身
(大分県林試)
室雅道
 京都議定書に対応した森林のCO2吸収量の基礎データを取得することを目的として実施されてきた「炭素吸収源計測・活用体制整備強化事業」で、大分県は県内に広く植栽されたクヌギ人工林について炭素貯留量を計測した。平成16〜18年度にかけて実施した3林分の結果を報告する。


803
スギ衰退林分の表層土壌の化学性について
福里和朗
(宮崎県
林業技術セ)
齋藤真由美
讃井孝義
三樹陽一郎
小田三保
 宮崎県内の北部地域に数年前からスギ樹勢衰退がみられるようになり、その面積は拡大傾向にある。しかし、その衰退の原因については明らかではない。先に西郷村内(現美郷町西郷区)のスギ樹勢衰退のみられるスギ林と周囲の健全と思われるスギ林を対象に、堆積有機物、表層土壌のpH及び交換性塩基について調査を行った。衰退林はpH及び交換性Ca含量がやや低いものの、これらが衰退を引き起こす原因とは考えられなかった。今回は西郷村を含む数カ所の地域のスギ樹勢衰退林分を対象に、林分の状況、表層土壌の化学性について調査を行ったので、その概要について報告する。 

804
九州中部の森林小流域における窒素収支の年々変動
釣田竜也
(森林総研九州)
大貫靖浩
清水貴範
 日本の中でも台風の影響を受けやすい九州地域の森林流域では,台風の影響の大小による年々の降水量の変動が大きく,これが森林流域の窒素収支に大きく影響すると予想される。発表者らは,熊本県北部に位置する鹿北流域試験地内の森林小流域において,月1〜2回程度の降水および渓流水の定期採水に基づき,2001年以降の無機態窒素収支を算出した。本研究では,その年々変動を解析した結果を報告する。