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再造林放棄地内の作業路、法面および伐採跡地での土砂移動について
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佐々木重行
(福岡県森林 林業技術セ) 茅島信行 桑野泰光 |
再造林放棄地では搬出コストを抑えるため作業路が無秩序に造成されると考えられる。そこで、放棄地内の作業路、法面および伐採跡地で土砂移動量を調査した。土砂の移動量は、作業路で多かった。作業路では轍面での移動量が多かった。また、伐採跡地では、植生が繁茂していても、植生の葉層が高く地表面に落葉腐植層が少ないところで多かった。土砂の移動量は、降水量と密接な関係が見られた。 |
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伐出路跡の表土撒出と枝条散布処理が土壌環境に与える効果
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樋渡さゆり
(宮大農) 山川博美 伊藤哲 中尾登志雄 |
近年、林業経営の悪化から、人工林伐採後に再造林を行わない林地(再造林放棄地)が増加している。中でも、伐出路跡は周辺の林地と比較して表土の消失や転圧によって土壌環境が悪化し、植生回復が著しく遅れると報告されている。したがって、伐出路の早期植生回復を図るためには、土壌環境の改善が必要である。そこで、本研究では伐出路の早期植生回復を目的とし、定着土壌(土壌環境)に着目して、路面勾配の異なる伐出路跡において、表土流亡抑制効果の期待できる枝条散布、および埋土種子の発芽を期待できる表土撒出を行った。路面勾配の違いは、表土の侵食量を大きく左右していた。急勾配路面では枝条散布により、表土流出を抑制している傾向が観測された。さらに、枝条散布は、表土流亡の抑制だけでなく土壌温度などの微気象を緩和する効果も観察された。これらの結果を基に、伐出路の早期植生回復のための表土撒出と枝条散布の効果について考察する。 |
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土壌物理性・土層厚からみた褐色森林土の地域的差異 −北関東と九州の比較−
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大貫靖浩
(森林総研九州) |
褐色森林土は森林土壌の7割以上を占め、全国的に広く分布している。化学性の地域間の違いに関しては古くから研究が進められてきたが、物理性の地域間の違いに関しては粗孔隙や細孔隙の測定結果が認められる程度であり、土壌の保水機能や水流出に影響を与える土層(土壌層+風化層)厚の違いについて研究もほとんどない。本研究では、全国を東北日本と西南日本に2分し、それぞれの地域の代表例として桂試験地と鹿北試験地の土壌物理性と土層厚の違いを比較検討した。その結果、飽和透水係数は平均で4.25×10-4 ms-1対1.99×10-4ms-1、容積重の平均は0.72 Mgm-3対1.06Mgm-3、全孔隙率の平均は0.66m3m-対0.58m3m-3であった。また土層厚の平均は3.02m対2.03m、このうち表層土層(A+B層)厚の平均は2.02m対1.01m、風化層(C層)厚の平均は1.00m対1.02mであった。このように、両地域の褐色森林土の土壌物理性・土層厚には明らかな違いが認められ、その理由の1つとして火山灰の混入度合いの差異が考えられた。 |