904
両口試験管を用いた対峙培養による害菌の病原性の判別 U
新田剛
(宮崎県林業
技術セ)
宮崎和弘
 キノコの菌床栽培施設では、栽培目的以外の菌が培地へ混入し被害を与える、いわゆる害菌問題が発生することがある。これらの害菌の病原性については、両口試験管を用いた対峙培養試験による検定手法がある。対峙培養試験による検定手法は、実際の菌床栽培で使用される培地を用いて検定が可能で、直線上の値で評価し数値化できる点で優れている。これまで、演者らも数種の栽培キノコと害菌の組み合わせで対峙培養試験を行い、各栽培キノコ毎に害菌の持つ病原性の判別について検討を行ってきた。その結果、非常に病原性が高い菌から、ほとんど問題にならない菌まで存在することがわかり、また、同じ害菌でも、キノコの種類によって病原性の評価が異なることなどがわかったので、その結果を報告する。


905
大分県で2007年に発生したシイタケオオヒロズコガ被害について
村上康明
(大分県きのこ研)
末光良一
 原木シイタケの害虫、シイタケオオヒロズコガの防除を目的として研究を行った。2007年7月に被害発生の報告を受け、まず被害状況の調査を行った後、秋の羽化調査を実施すると同時に新ほだ木への産卵防止のためにネット被覆を行った。この蛾の幼虫はほだ木内部に生息しているが、表面に出てきて羽化するために脱皮殻がほだ木表面に残される。この脱皮殻を計数することによって羽化数を推定した。調査したほだ場は被害の見られた2ヵ所(中津市耶馬渓、大分市今市)とした。羽化調査は2007年8月初旬に1回、8月下旬〜11月上旬に合計10〜12回実施した。ネット被覆の効果については、成型駒上の穿入孔調査によって行った。その結果、初夏の羽化は3年目のほだ木が最も多く、2年目と4年目のほだ木は少なかった。秋の羽化については、9月初旬から11月初旬にかけて見られた。ネット被覆を行ったほだ木には幼虫の穿入孔が見られなかった。