912
木質土木資材の耐久性調査
山口修
(佐賀県林試)
山浦好孝
 木材を土木資材として野外で使用する場合、耐久性への不安が要因となり、必ずしも積極的な利用につながっていない。また、以前は木材の防腐処理には、低価格で使用方法が容易であるクレオソートが多く用いられてきたが、成分中に発癌性の高い物質が含まれていることが報告され、現在はその物質を環境基準の規定値以下に抑えた環境配慮型クレオソートが多く使用されるようになっているが、野外で使用した場合の防腐処理効果については、まだ明らかになっていない。そこで、ピロディンを用いて様々な施工年度の既設木製構造物や、防腐処理を施した野外暴露試験杭の耐久性調査を実施し、環境配慮型クレオソートも含めた各防腐処理方法による木材の耐用年数を明らかにする研究に取り組んでおり、その途中経過を報告する。


913
圧縮スギの強度特性 ー木質構造への利用をめざしてー
田中圭
(大分大学工)
山口潤
佐伯浩平
出元裕子
大内成司
井上正文
 木材のリサイクル・リユースや製造時のCO2排出量などを考慮すると木質構造接合部の金属部品を木質材料で代替するということが有効な手段の一つである。現在、木質構造で使用されている木製の込栓等は強度等の問題から広葉樹等の堅木が利用されている。しかし、広葉樹は成長が遅く、資源量が少ないという問題がある。そこで、本研究では、膨大な資源量を誇るスギ材に圧密加工を施し強化することで、広葉樹に劣らぬ強度性能をもつ木質材料を製造し、木質構造の接合部材に利用することを目的としている。 本報では、圧密の度合いが異なるスギ材について、圧縮、曲げ、せん断の各強度及び圧密方向と加力方向の関係が強度に与える影響を把握する実験を行ったので報告する。


914
木ダボおよびメタルプレートコネクターで積層接合したスギ重ね梁の曲げ性能
城井秀幸
(大分県林試)
河津渉
津島俊治
 木ダボおよびメタルプレートコネクターで積層接合した重ね梁を試作し曲げ強度試験から重ね梁としての性能を評価した。試作した重ね梁は、スギ12cm正角材を2本を重ね合わせた重ね梁(12×24×4000mm)で、接合方法は木ダボ接合がダボ本数を変えた2タイプ、メタルプレートコネクター接合が積層面と垂直に両側から挟み込むタイプと積層面と並行に積層間に挟み込むタイプのそれぞれ接合本数を変えた2タイプである。曲げ試験の結果、重ね梁の曲げ強度性能はスギの無等級材の基準強度を一部の試験体しか満足せず、また、積層間のズレにより剛性も低い結果となった。しかし、メタルプレートコネクター接合は圧縮するだけで簡単に接合できることから、プレートの長さや厚さなどの形状を改良、工夫することで簡易な重ね梁等の接合法として今後の利用が期待された。